医師の採用戦略、病院長経験を踏まえて―医師への選択、医師の選択【第43回】

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著者:野末睦(あい太田クリニック院長)

 
質問:医師を採用するためには、どうしたらよいでしょうか?
※編注:質問に対する「私的結論」を次回掲載します。

院長の仕事のうち、とても重いウェイトを占める医師確保事業。院長に限らず、部長職など役職に就いている医師にとっては、最優先事項であるのではないでしょうか?今回はどのような戦略で医師を獲得すべきかについて、わたしの院長経験も踏まえて述べてみたいと思います。

求める医師像は明確に

まず病院ごと、あるいは所属する診療科目ごとに求める医師像をしっかり定めることが必要だと思います。「医師であれば誰でも良い」という心持ちで求人を出しても、医師の応募そのものがほとんど見込めないばかりか、良質の医師の採用に結びつきません。医師はいい意味でプライドの塊ですので、求人を見て「自分が必要とされている」と感じてもらえるように、まずは病院の求める医師像を定める必要があります。参考までに、庄内余目病院で求めていた医師像を挙げてみます。

(1)自分の専門領域およびその周辺領域を一人でもきちんと診断、治療ができ、さらに向上心がある。
(2)研修医やコメディカル等に対して教育熱心である。

挙げてみると当たり前でもあり、医師としての理想像を描いたような項目でもあります。ただ、重要なのはこうした「求める医師像」を考える上で、「たとえば週に最低6日間働ける医師」とか、「年収を給与表通りで了承した医師」であるといった事柄を考え過ぎないことです。これらの項目を求人に明示している病院はさすがにないとは思いますが、採用担当者や院長の中には、こうした現実的な事情を潜在的に意識してしまう方も多いのではないでしょうか?

医師の心に響く医療機関になる

求人を打ち出す際、医師が不足している診療科を機械的に列挙して諸条件をつらねていくという方法もあるかもしれませんが、そうした病院側の要望はいったん脇に置いて、わたしは最初に挙げた2項目だけを意識するようにしています。その上で一度立ち止まって、自分たちが求めている医師に魅力的に思ってもらえるように、病院のあり方を設定し、実現していくのです。

医師確保を通常の商取引に例えると、転職を希望している医師が「顧客」であり、病院が「商品」であると言えます。病院の理念やそれに沿う行動がしっかりしていなければ、いくら求人を出しても「顧客」である医師の心には響きません。庄内余目病院には理念と基本方針がありましたが、その中のいくつかの項目には商品としての病院を形づくる項目があります。たとえば「次代の医療を担う医師、看護師、コメディカル等の有能な人材育成を目指します」といった項目はまさに求める医師像の2番目に呼応しています。

≫次回に続きます≪

野末睦(のずえ・むつみ)

初期研修医が優先すべきこと1―医師への選択、医師の選択(野末睦)筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。

 

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