“データに使われる”ではなく、“データを使う”医事課職員になるには?―苫小牧市立病院 病院事務部医事課 課長補佐 小林泰賀氏

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院内でも特にさまざまなデータが集積される医事課。経営上の重要性も高い大量のデータを扱う部門だからこそ、「数値に溺れず、現場と触れ合いながらデータを精査・取捨選択していくことが大切」と強調するのは、苫小牧市立病院 病院事務部医事課 課長補佐の小林泰賀氏です。数値を眺めているだけでは見えてこない医療現場の実情にも目を配り、データ分析から病院を動かしていく―そのために、小林氏が心がけていることとは。

医事課職員がデータの海に溺れないために意識すべきこと

―これまでのキャリアについて教えてください。
DSC_0200_2わたしは苫小牧市の職員です。2007年にローテーションの一環で苫小牧市立病院に配属され、今年で10年目になります。入職当初はまったくの素人で、業務委託先から医事職員としてのイロハを教わりながらコツコツと研さんしてきました。当時から大事にしてきたことは、とことん調べること。「指示通りにこなすだけ」ではなく、どれだけ能動的に業務に取り組み、理解を深めていくかが大切だと思っています。
DPC制度と同じで、効率性や複雑性、カバー率など密度の濃い1日を意識することが必要だと思います。

―現在、小林さんはレセプト管理の根幹を担っていらっしゃいますが、データ分析で特に気にしていることはありますか。
一番は、「間違いがないかを徹底的に確認すること」です。当たり前のように思われるかもしれませんが、これは単にケアレスミスをなくすという意味に留まりません。データ分析の結果が現場の感覚と合っているかどうかをとにかく意識する、ということです。

例えば、現場で使われている医療材料や行った診療行為が、データ上とのズレがないか注意、確認を行っています。もしもズレが積み重なると、正しい現状把握が出来なくなり、現場との信頼関係構築の障害になり得ます。データが独り歩きしないよう、意識的にコミュニケーションも取って医師や看護師との感覚の違いを埋め、現場を改善するための数値を提示するように心がけています。また、私が作成するデータや資料で、院長や副院長が今後の方向性の選択や、決断のための判断材料になるので、憶測と数字だけではなく現場の内容をしっかり反映させるものでなければならないと思います。
医事課は院内でも最も多く、幅広いデータが集まる場所。探そうと思えば改善が必要そうな数値は山のように見つかります。だからこそデータの精査が必要不可欠だと考えています。

医療機関が経営的にも大きな転換点にある今だからこそ、改善につながるようなデータをしっかりと見極め、現場に提示していくことが、求められているのではないでしょうか。

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DSC_0220_2―データを提示する際や、データに基づく議論の際に注意されている点は何でしょうか。
最も見てもらいたい箇所がすぐに分かるような資料・グラフづくりです。あくまで資料はコミュニケーションのきっかけだと考えているので、基本的にはA4一枚で済む程度に情報を厳選して、注目すべき部分が一目で分かるようにしています。最初から膨大な分析結果を提示しても、議論が発散しがち。詳細な分析結果は議論が進んでいく中で、必要に応じて提示する。分析の目的と議論の目的を明確にした上で質問を受けたり、仮説が出てきたりした段階で詳細を見せていく方がシャープな議論になるとも思います。
もう一つ重要なことはスピード感です。現場とのやりとりではここが特に意識しなければならないと感じています。

―そのようにデータを提示するノウハウは、自然と身についたものなのでしょうか。
自己流の部分もありますが、自分なりに工夫するようになったのは、事務職の役割が変わってきたこの10年ほど。最も大きな転機になったのは、2009年のDPC導入です。当時はDPC自体をどのように院内に説明していくかにとても苦慮し、試行錯誤の連続。自分自身が変わっていかなければと痛感させられる場面も多かったですね。

DPCを導入するに当たって一番苦慮したのは、「どうしたら医療現場に負担を掛けずに、理解を深めてもらえるか」でした。医療スタッフとコミュニケーションを重ね、どの部分に立場や役割のズレがあるのかを身をもって学び、必要な情報とそうでない情報の精査をしていったように思います。あのときの経験が、わたしにとって今の資料づくりや、データ分析、院内調整業務につながっています。

病院事務職に必要なのは「環境をつくっていく力」

-これからの事務職へのメッセージをお願いします。
事務職には、これまで以上に「環境を自分でつくっていく努力」が必要になると思います。機会を待つのではなく、事務職自身が必要だと思った行動を自発的に取っていかないと、業界の変化に追いついていけません。

もちろん、自分で環境をつくることはそう簡単なことでもありません。理解が得られないことや周囲と衝突してしまうこと、ときに間違えてしまうこともあるかもしれません。ただ、そうした試行錯誤の中で、事務職としてのさまざまなスキルや院内各所とのコミュニケーション能力が磨かれると思いますし、「自分が仕事を通じて何をしたいのか」がおぼろげにでも見えてくるはず。経営を担う役割に近づくためには、そんな期間も必要だと、個人的には思います。

わたし自身これからも、当院が地域の患者さんに長く親しんでもらえるよう、必要な環境を自分でつくっていく努力は続けていかなければ、と考えています。目下の目標は、当院が今まで以上に、地域に良い影響を及ぼせるような体制をつくっていくこと。そのために今後は医療現場を飛び出して、地域の人に会って学び、市議会とのやり取りなどで医療現場の実情を伝え、地域に良い影響を及ぼしていけるような存在になりたいですね。

 

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