「医師の悩みはビジネスチャンス」 医師事務作業補助がもたらすもの-メディカルトピア草加病院【後編】

医師が急増し、診療内容の幅も広がっているメディカルトピア草加病院(埼玉県草加市)。組織としての規模・機能の拡大を支えているのは、医師事務作業補助のスタッフだそうです。「特定非営利活動法人 日本医師事務作業補助研究会」の顧問も務める久保田巧事務長に、医師事務作業補助部門の活用のポイントについて伺いました。

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・「医師の悩みはビジネスチャンス」 医師事務作業補助がもたらすもの-メディカルトピア草加病院【後編】

医師事務作業補助が「ビジネスチャンス」を発掘

-医師事務作業補助部門を活用している背景を教えてください。

久保田巧事務長4現在、当院には婦人科の電話対応だけでも月間300件、130人ほどの新規患者さんがいらっしゃいます。その中には、専門性が必要な問い合わせ事項も多くあります。それを医師が全部対応しようと思ったらパンクします。コメディカルも自分の業務で忙しく、サポートどころではないので、こうしたところに医師事務作業補助者が入って、かゆい所に手が届くような支援を行うことが必要不可欠です。

医師事務作業補助者が臨床現場に入っていくと、単に医師の手間が省けるだけでなく、事務部門から現場の様々な問題が見えるようになっていきます。実はそうした問題というのは、ビジネスチャンスなんです。病院は、医師が活躍することで収入が発生しますから、医師が抱えるちょっとした悩みでも改善できれば、処理能力が向上し、収入増につながります。医師事務作業補助が入ったことで、医師が診療する患者さんが20%増加したというデータもあります。

医師事務作業補助者が現場で収集した医師の悩みや現場の課題は、わたしにも共有され、改善できる手立てがないかどうかを一緒に考えます。もし、追加で医師を採用した方が良いであれば、「こんな働き方をしてくれる医師がいてくれたら良いのでは?」と仮説を立て、現場の医師に提案して採用活動を行うこともあります。当院ではこのように、医師採用が業務改善の一環として位置づけられている点も特徴的かもしれません。

-貴院の医師事務作業補助部門の特徴は何でしょうか。

一般的に医師事務作業補助者は、一般事務職よりも給与が安かったり、派遣・非常勤職員が務めていたりすることが多いのですが、当院では、正社員総合職として将来のキャリアを意識した活動を期待しています。

現在、医師事務作業補助部門には11人(リーダー1人、コアメンバー6人、病棟クラーク2人、外来クラーク2人)が在籍しており、コアメンバーのうち4人が、25対1医師事務作業補助体制加算の対象業務に専念し、残りの人員は、加算対象業務に加え、業務改善や新しい業務の構築など、加算対象外のクリエイティブな業務にも従事しています。今後、半年以内に、さらに3名は増員しようと考えています。

現場の医師事務作業補助者が行う業務も、単なる入力代行だけではありません。業務の一環として、予約患者の予習を行う時間を設け、その患者さんの前回の結果や、今回の診療目的、検査オーダーの有無などを把握し、病状説明に必要なデータの刷り出しなども行います。「医師は診察に専念してくれればいい」という体制をつくるために、究極の支援部隊をつくりたいと思っています。

アウトカムを段階的に設定し、効果測定を行う

-医師採用、労働環境の改善に携わる中で、久保田事務長ご自身のモチベーションはどんなところにありますか。

久保田巧事務長3大前提として、病院が発展し、職員が元気に働けるというところに純粋な喜びを感じられないと、組織運営はできないと感じます。
その上でわたしは、日々の業務にアウトカムを設定して、一つずつ達成していくことに、モチベーションを感じています。

このために重要なのは、各業務をきちんとプロセスごとに区切り、段階的に評価項目を定めていくことです。
たとえば医師採用にしても、最終的な採用件数だけに着目していると、日々の業務の成果はなかなか見えにくい。問合せ件数、面接件数、採用件数-などと、プロセスごとに区切ってアウトカムを設定し、課題抽出と改善を試行錯誤していけば、「この部分はうまく行った」と、部分的にでも成功体験を積むことができ、モチベーションを高めて次のアクションに移ることができます。病院経営には、終わりがありませんから、一度こうしたサイクルに入ると、しめたものです。

【メディカルトピア草加病院 採用の成功ポイント】
●ターゲットを明確にし、ライフスタイルを提案する気持ちで求人を出す
●医師の目線に立って条件交渉を徹底的に行い、他院との差別化を図る
●医師事務作業補助部門を活用し、臨床現場の課題を常に把握。業務改善し続ける
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