民間企業出身のマーケターが、成長期のクリニックで気付いたこと―よしき往診クリニック 岩﨑有美氏

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京都市西京区の病院、クリニック、ケアマネジャー、薬局などと連携し、24時間365日、総合診療型の在宅医療を提供しているよしき往診クリニック。その中で広報兼メディカルコーディネーターとして、クリニックの情報発信や地域連携を担っているのが岩﨑有美氏です。一般企業で接客やマーケティングの経験を経て、2017年4月開院の在宅医療クリニックに入職した岩﨑氏は、どのような気付きがあったのでしょうか。

<インタビュイープロフィール>
医療法人双樹会 よしき往診クリニック
広報 メディカルコーディネーター  岩﨑 有美 氏

「マーケティング」という軸で、医療業界に挑戦する

よしき往診クリニック

-まずは、これまでのキャリアについて教えてください。

学生時代からビジネスプランコンテストなどに参加する中で、将来はマーケティングの仕事をしたいと思っていました。しかし、当時はリーマンショックのタイミングだったので、新卒ではアパレルメーカーに入社。販売を経験した上で、本社でマーケティングを担当していました。それから、本格的にマーケティングに関わるために広告代理店へ転職し、マーケティングプランナーとして企業のブランディングをお手伝いしていました。

-その後、よしき往診クリニックにご入職されたのですね。

はい。もともと守上佳樹院長とは面識があり、開業の話も聞いていました。開業前からいろいろと相談を受けていましたが、他業界からの目線も入れていきたいという院長の想いもあって「一緒に働かないか」と声をかけてもらいました。私自身もクリニックの立ち上げに関われることは非常にいい経験になると感じましたし、当時は広告代理店で3年ほど働いていて、転職も考えていたタイミングだったので、話を受けることにしました。

-これまで縁のない医療業界への転職ですが、抵抗はありませんでしたか。

私の性格上、新しい分野を学ぶことには特に抵抗を感じませんでした。また、医療業界は他の業界と比べてもマーケティングが遅れていると感じていたので、逆に自分の腕を試せるチャンスだと考えていました。

-医療業界の中でも、よしき往診クリニックで働くやりがいを教えてください。

できたばかりのクリニックなので、1からつくっていけるのがとても楽しいです。これまでマネジメントは未経験だったので、全体を俯瞰して、院長とディスカッションしながら仕事を進めていけることは非常にやりがいがあります。現在はMBAの取得も進めていて、大学院で学んだことを日常の業務でアウトプットができている感覚があります。

-逆に、苦労するところはありますか。

私自身、広報とメディカルコーディネーターを兼務しているため、どうしても人手が足りないときがあります。当院は現在日々の活動や情報発信の甲斐があり、患者さんが増え、成長期にあたります。地域の在宅医療ニーズは高く、より多くの患者さんに質の高い医療を提供するには、当院が受け皿となるような体制の構築が急がれます。そのため、スタッフ体制の強化が組織の課題でしょう。とはいえ、一気に増やしても教育が難しい側面はあるので、対応は順々にしていきたいと考えています。

経営、広報、コミュニケーション―他業界出身だから気付くこと

よしき往診クリニック 岩﨑有美

-現在、よしき往診クリニックで広報を担当されていますが、実際に他業界と比べてどのような違いがありますか。

マーケティング手法は大きくは変わりませんが、広報に対する根本的な考え方が違うと感じています。というのも、医療従事者は「医療=公的サービス」という印象が強いようで、「広報=宣伝」と、悪いものだと捉えられがちになります。しかし、どの医療機関も患者さんに満足してもらおうと頑張っていますよね。では、その違いは何なのか?自院の魅力を差別化して生活者に伝えることが必要と考えます。

-医療業界で広報に注力している法人は少ない印象ですが、ご自身の中で問題意識などがあるのでしょうか。

医療業界では、広報の強化がもっと必要だと思います。広報施策のひとつにホームページのリニューアルがありますが、それ単体をきれいにしたところであまり意味はありません。

広報はパブリックリレーションズ。最も大切なのは、患者さんや近隣の医療機関、そして地域と信頼関係をつくることだからです。そう考えると、地域のイベントに参加して顔の見える関係をつくることや、他の病院や診療所と悩みを共有・相談する場を設けることなども必要になってくるでしょう。しかし、小さな病院や診療所はそこまでやる労力がないのも事実です。そういった取り組みは院長などに任せっきりになってしまう法人が多いのですが、院長も忙しく、そこに注力できないケースは往々にしてあります。ですので、広報は専門的な人に任せて、効率化を図るべきだと思っています。

-その他、他業界出身だからこそ感じる同院の課題はありますか。

私自身がサービス業の出身だからというのもありますが、医師やコメディカルを含め、診療時のコミュニケーションはまだまだ伸びしろがあるのではないかと感じています。それは、表面的には問題がないように見えても、患者さんの言いにくいところまで汲み取れているのかということ。特に在宅医療では、患者さんのご家族がどう思っているのか、そこまで考えてお話しなければいけないと感じているので、クリニック全体でも力を入れていきたいと思います。

-岩﨑さんの今後のキャリアについて教えてください。

今後は学生時代からの目標でもある起業を目指していきたいと考えています。具体的にはこれまでの経験を活かし、医療機関をサポートできるような事業ができればと考えています。そのためにも、今はよしき往診クリニックで現場を知り、さまざまな挑戦をしながら経験を積んでいきたいと思います。

事務長兼メディカルコーディネーターの山田寿美氏と

-最後に、他業界から医療業界への転職をお考えの方にアドバイスをお願いします。

以前は、院長が医療も経営も全て1人で考えなければなりませんでした。しかし、院長はスーパーマンではありません。そもそも経営のサポートは医療資格がなくてもできること。むしろ、一般企業で組織やお金の動かし方を学んできた人は価値を発揮できるのではないでしょうか。自分の強みを活かすことで、できることはたくさんあると思うので、興味のある人は是非チャレンジしてみてください。

<取材・文:浅見祐樹、編集:小野茉奈佳>

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