【社労士が解説】残業代の表記が適切ではない事による危険性


目次

医師の給与を年俸制にしていて、残業代を含めた年俸制としている場合にもリスクが潜んでいます。


基本給等に残業代を含む場合は、その時間数及び金額を明記しなければならない

過去の判例を見てますと、年間何時間分の残業っていう時間数の記載がなくても、この固定残業代の有効性が認められたケースも中にはありますが、様々な勤怠管理方法とかとどのような説明をしてたかとかそういったところを総合的に判断されるので、時間数とその金額どちらも明記しましょう。

固定残業代が法定の割増率で計算した額を下回ってはならない

実際の残業時間に応じて差額を請求される可能性もあります。

200万が年間の残業代、時間数としては200時間、と定義していても、法定の割増率で200時間分を計算した時、200万で足りない場合、差額を請求されるリスクもあります。

実際にどれくらいの未払い残業代が発生するか

雇用契約書で、年俸2000万に賞与や残業代を全部含みます、の一言で終わらせており、年間の所定労働時間が2085時間で、実際の残業が月20時間だった場合。
2000万も全体が基本給の扱いになりますので、賞与の部分がいくらとか、残業代の部分がいくら、ということを全く書いていなければ、2000万全てが基本給と判断されます。

その基本給を所定労働時間の2085時間で割ると、時間単価としては9,592円で、それに法定割増率残業の1.25倍で、残業時間の単価は1万1990円になります。

これで月20時間を12ヶ月残業したとしますと、300万近い利払残業代が発生することになります。

これを医師に請求されてしまうと、病院は差額を払わないといけません。

医師から請求されていなくても、監督者の調査が入って「この部分未払いですよね」って指摘を受けると、訴求して支払うように勧告されます。

未払い残業を発生させないように固定残業代を含む契約をしたい場合

年俸2000万円全部を基本給として計算しましたけれども、賞与は除いていいんじゃないのと考える方もいるかもしれませんが、年俸制の場合は最初から賞与の額も決まってます。

月給制の場合、月々の給与が決まっていて、賞与の額はその方の評価とか病院の経営状況とかで額は変動するので、割増の基礎には普通は入れないんですけれども、年俸制の場合は、最初から支払い額は確定しているものなのでなので、賞与だとしても、時間単価の計算に入れないといけないということになります。

結果として、未払い残業を発生させないように固定残業代を含む契約をしたい場合、細かい数字を書いていく必要があります。

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