【特集】2024年法施行・医師の働き方改革とは

目次

医師の時間外労働規制の概要

ポイント

  • 労働時間の上限は1日8時間(=週40時間)、超える場合は36協定の締結が必要
  • 寝当直は規制の対象外(※労働基準監督署の宿日直の認可を受けた医療機関のみ)
  • 勤務医の時間外労働の上限は原則960時間とする(A水準)
  • 地域に必須の医療に影響が出るような医療機関は、特例として当面最大1860時間とする(B水準)
  • 所属先での時間外労働は960時間以下だが、他の医療機関での勤務を合計すると960時間を超える医師は、特例として当面最大1860時間とする(連携B水準)
  • 研修医や高度技能を習得する医師も、特例として当面最大1860時間とする(C-1・C-2)
  • 時間外労働が月100時間を超える場合は、医師の面接指導と、時間を減らすなどの就業上の措置を義務付ける
  • 時間外労働の上限が高いB・C水準は、(1)連続勤務時間制限28時間、(2)勤務間インターバル9時間、(3)代償休息を義務付ける ※A病院の場合は努力義務

A水準を満たせているかのチェック事項

  • 時間外労働が週に20時間以内(当直含む)か
  • 時間外労働が月に100時間未満(外勤含む)か
  • 1ヶ月に4日以上休めているか
  • 1回の最長労働時間は28時間以内か
  • 勤務と勤務の間に9時間以上あけられているか

※労働基準法などの法令に関する項目については「いきいきと働く医療機関サポートWeb」の「基礎診断(医療機関管理者向け)」にて診断可能

法施行までのtodo

全ての医療機関

  • 適切な労務管理
    (副業・兼業先の労働時間も通算されるので、勤務医の自院以外での労働時間の把握も必要)
  • 三六協定の見直し・締結
  • 医師雇用契約書の再締結
  • (必要に応じて)労働時間短縮計画の策定(※)
  • 医師に年間960時間以上の時間外労働をさせる必要がある診療科を検討

※以下に当てはまる場合は労働時間短縮計画の策定が必要
参考:医師労働時間短縮計画策定ガイドライン(案)

  • 2020~2023年度までに年間時間外・休日時間数が960時間を超える医師がいる医療機関(2024年度以降はB・C水準の医療機関)
  • 2021年度中に係る36協定の届出において、年間時間外・休日時間数が960時間を超える36協定を締結する医療機関

B・C水準を目指す医療機関

  • 労働時間の実績や労働時間短縮の取り組み状況について、評価機能による第三者評価の受審(2022年~)※第三者評価に関する規定は2022年4月施行
  • 特例水準医療機関の指定を受けるための都道府県への申請(2022年度後半~2023年度)
  • C-1:臨床研修・専門研修プログラムにおける時間外労働時間数の明示(2022年~)
  • C-2:審査組織による教育研修環境の個別審査

「労働時間」の定義

労働時間とは

「労働時間」=使用者の指揮命令下に置かれている時間
例えば以下のように、「使用者の明示または黙示の指示」があるか、「労働者が業務に従事する時間」かどうかが判断基準となる。

  • 診療や手術をしていなくても、院内で緊急時に備えて待機をさせられている →労働時間
  • 勤務先からの命令による研修・教育、会議などへの出席 ※場所は院内外問わない →労働時間
  • 電話等に対応する必要がなく、実際に業務を行うこともない →労働時間に該当しない
  • 使用者が用意する研修で、自由参加 →労働時間に該当しない
    ※欠席した場合に、減給されるなど不利益な取り扱いをされるのであれば労働時間と認定される
  • 院内で自主的に行う勉強会 →労働時間に該当しない

※参考:医師の研鑽に係る労働時間に関する考え方について│厚労省通達

当直について

以下の2点を満たしていれば、規制の適用除外となる。
この場合、当直中に実際に患者を診るなどの実働があった時間のみ、労働時間として上限規制の対象になる。

  1. 労働密度がまばらであり、労働時間規制を適用しなくとも必ずしも労働者保護に欠けることのない一定の断続的労働
  2. 労働基準監督署長の宿日直許可を受けている

宿日直許可について

宿日直の許可は医療機関全体についてではなく、所属診療科/職種/時間帯/業務の種類等を限って受けることが可能。たとえば、以下のような業務であれば「軽度又は短時間の業務」とみなされ、宿日直の許可が認められる。

  • 医師が、少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等(軽度の処置を含む。以下同じ)や、看護師等に対する指示、確認を行うこと
  • 医師が、外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間(例えば非輪番日であるなど)において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指示、確認を行うこと
  • 看護職員が、外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間(例えば非輪番日であるなど)において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等を行うことや、医師に対する報告を行うこと
  • 看護職員が、病室の定時巡回、患者の状態の変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温を行うこと

※参考:医師、看護師等の宿日直許可基準について│厚労省通達

その他

勤務時間短縮のための取組み例

  • 医師事務作業補助者や看護補助者の導入
  • ICT機器の導入
  • 業務の見直し
  • 複数主治医性の導入
  • タスク・シフティングの推進
  • 患者の理解を求めること(上手な医療のかかり方)  など

※具体的なチェック項目は、厚労省「医療機関の医師の労働時間短縮の取組の評価に関するガイドライン
(評価項目と評価基準
)」のP15~22を参照

医師の健康確保措置

主に以下が義務付けられるため、早めにシフトの組み方や面接指導を行う医師の確保、院内の体制構築について検討・進捗していく必要がある。詳細は「長時間労働の医師への健康確保措置に関するマニュアル」を参照。

  • 月100時間を超える時間外労働を行う医師への、医師による面接指導・就業上の措置
  • (A水準以外では)28時間の連続勤務時間制限/勤務間インターバル9時間/(手術の延長などによりやむを得ずそれらを超えて働いた場合の)代償休息
  • A水準(年間960時間以下)の医療機関においても、同様の措置について努力義務が課せられる

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