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自院で働く常勤医師の時間外労働時間管理例
具体的に、どのような形で時間外労働時間を把握・管理していくのか確認していきましょう。以下の常勤医師の例をご覧ください。
本常勤医師はA水準を満たす必要のある常勤先の病院で、通常の月曜日~金曜日の勤務に加えて当直を2回、日直1回行っています。時間外としてカウントしなければいけないのはこの当直2回分の30時間(15時間×2回)と、日直1回分の8時間、合わせて48時間となります。もしこのような勤務を年間で行った場合、時間外労働時間は576時間(48時間×12ヶ月)となり、A水準の基準である960時間に収まっている状態ですので、問題ありません。
では次の例を見てみましょう。
先ほどのA医師ですが、この月だけ当直と日直の勤務が増えてしまいました。当直は全部で4回、日直は2回入っています。月間の時間外労働時間を計算してみると、当直が15時間×4回で60時間、日直が8時間×2回で16時間、あわせて76時間となりました。
もしこの月だけイレギュラーで増えてしまっただけであれば、他の月の時間外労働時間は先述の通り48時間ですので、1ヶ月×76時間と、残りの11ヶ月×48時間で年間の時間外労働時間は604時間です。まだ年間960時間には達していないため問題ありません。しかし、この月だけは100時間を超えてしまっているため、面接指導が必要となります。面接指導は100時間を超える前の月中に実施することが推奨されていますので、月末を迎える前に面接指導を行う必要があります。
また、A水準であればインターバルは努力義務となっていますが、もしこのような勤務が長く続く場合、インターバルを考慮してあげる必要があるかもしれません。
最後に
ご紹介した通り、時間外労働時間の把握は月単位と年間単位の両方で必要です。また面接指導は超える前に実施が必要ですので、見込みとして超えそうかどうかを常にチェックし、月中のどの時点で面接指導を行うかもルール決めが必要です。
まずはしっかり労働時間の実態を把握することが大事です。最初はどのような形でも構いませんので、勤務実態を把握し時間外労働時間を定常的に把握できる仕組みを、医師と協力しながら作り上げていきましょう。