
地域包括ケアシステムの推進に伴い、医療と介護の連携はますます重要になっています。この記事では、居宅サービスを提供形態別に解説します。
居宅サービスとは
居宅サービスとは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう支援する、介護保険サービスのことです。利用者は、要支援・要介護認定を受けた後、自宅に住みながら、あるいは特定の施設に通ったり短期間宿泊したりしながら、必要なサービスを受けることができます。医療との連携が不可欠なサービスも多く、病院が地域での役割を果たす上で非常に重要な位置を占めています。
施設サービス・地域密着型サービスとの違い
介護保険サービスは、大きく「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つに分類されます。それぞれの違いを理解しておくことが重要です。
- 居宅サービス
自宅での生活を基本とし、必要な支援を提供するサービス。 - 施設サービス
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などに入所し、24時間体制で介護を受けるサービス。 - 地域密着型サービス
原則として事業所のある市区町村の住民が利用できる、より地域に根差したサービス。
病院からの退院患者の受け皿や、地域住民への貢献を考えた場合、まずはこの「居宅サービス」が事業展開の主軸となります。
居宅サービスの提供形態
居宅サービスは、その提供形態によって大きく「訪問」「通所」「短期入所」などに分けられます。ここでは全13種類のサービスを一覧でご紹介します。
訪問して受けるサービス
利用者の自宅に専門スタッフが訪問し、ケアを提供します。
- 訪問介護
ホームヘルパーが訪問し、身体介護(食事・入浴介助など)や生活援助(調理・掃除など)を行います。 - 訪問入浴介護
専用の浴槽を自宅に持ち込み、入浴の介助を行います。 - 訪問看護
看護師などが訪問し、主治医の指示に基づき療養上の世話や診療の補助を行います。病院との連携が特に密接なサービスです。 - 訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士などが訪問し、心身機能の維持・回復のためのリハビリテーションを行います。 - 居宅療養管理指導
医師、歯科医師、薬剤師などが訪問し、療養上の管理や指導を行います。
施設に通って受けるサービス
利用者が施設に通い、日帰りでサービスを受けます。
- 通所介護(デイサービス)
施設に通い、食事・入浴などの支援や、心身機能の維持向上のための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを受けられます。 - 通所リハビリテーション(デイケア
介護老人保健施設や病院、診療所などで、リハビリテーションを中心としたサービスを受けられます。
短期間宿泊して受けるサービス
利用者が短期間施設に宿泊し、介護や支援を受けます。
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
介護老人福祉施設などに短期間入所し、食事、入浴、その他の必要な日常生活上の支援や機能訓練を受けられます。 - 短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
介護老人保健施設や介護療養型医療施設などに短期間入所し、看護、医学的管理下における介護や機能訓練、その他必要な医療を受けられます。
その他のサービス
上記以外の形態で、在宅生活を支援します。
- 福祉用具貸与
車いすや特殊寝台など、日常生活の自立を助ける福祉用具のレンタルサービスです。 - 特定福祉用具販売
入浴や排泄に用いる、貸与になじまない福祉用具(腰掛便座、入浴補助用具など)を販売します。 - 住宅改修費の支給
手すりの取り付けや段差の解消など、小規模な住宅改修にかかる費用が支給されます。 - 特定施設入居者生活介護
有料老人ホームなどに入居している高齢者に対し、食事・入浴などの日常生活上の支援や機能訓練を提供します。 - 居宅介護支援
ケアマネジャーが、利用者の心身の状況や環境に応じたケアプラン(居宅サービス計画)を作成し、サービス事業者との連絡・調整などを行います。介護サービス全体の司令塔となる重要な役割を担います。