【医師の働き方改革】事例から考える、宿日直許可のスムーズな取得方法を伝授(後編)

(当記事は後編です。前編はこちらからご覧ください)エムスリーキャリアは2023年10月9日に、社会保険労務士の三本道代氏を講師に迎え、「医師の宿日直許可取得ノウハウセミナー」を開催しました。ここでは、その内容や知っておきたいポイントをお伝えします。

進行:中川加菜(なかがわ・かな)
エムスリーキャリア株式会社 事業開発部

エムスリーキャリアにて主に医療機関向けのサービス開発に従事。今期より医師の働き方改革関連を担当し、医師の働き方改革.comのサービス開発を行う。ほっとらいん(相談窓口)の受付対応も担当。

講師:三本道代(みもと・みちよ)
社会保険労務士

介護医業に特化した人材紹介会社において人事・労務の現場を経験し、社会保険労務士の資格を取得。資格取得後、日本経営グループに入社。社会保険労務士として医療法人、社会福祉法人を中心に人事労務分野での支援を行う。現在は個人の社会保険労務士として、トラブル未然防止、働きやすい職場環境づくりを第一に考え、医療機関や一般企業など幅広い業種において支援を行っている。

目次

提出書類は監督署で一部異なることも

具体的な手続きですが、まずは提出書類について。「断続的な宿直または日直勤務許可申請書」に加えて、宿日直手当の最低額を算出するために少なくとも1か月分の賃金台帳(もしくは雇用契約書)や、頻度を確認するために1~3か月分の宿日直のシフト表、宿日直日誌など宿日直中の医師の対応内容がわかるもの、宿直室の設備がわかる写真等、病院の平面図、就業規則、賃金規程等も含まれます。ただし、監督署により提出書類は一部異なるので、事前の確認もしておきたいものです。

実際の申請代行体験談を紹介すると、ケース①は「宿日直について、一部大学病院から来ていただいているが、複数の医師飽きている場合に総動員をどのように算出すべきか」。総動員は常勤医師+非常勤医師+外部医師(大学病院等)の合計ですが、外部医師の延べ人数が多く総動員が30~40人にのぼることもあります。この場合は、別表で内訳(常勤○名、非常勤〇名、外部医師〇名)と明記して、常勤数が少ないことを強調できる資料を作成するのがポイントです。

ケース②は、「宿日直時間帯が複数ある場合」です。例えば、土日祝日はあけの時間が異なる、土曜日は午前の未診療で午後から日直などの場合ですが、別表を作成し細かく記載する必要があります。ただし、午前のみ診療、午後から日直の場合は注意が必要で、4時間未満は日直として認められず、例えば13時30分から17時の日直はNGとなります。よって、午後からの日直は認められない思った方がよいでしょう。ある病院は土曜日の午後は労働時間とし、夕方以降が宿直、日曜日を日直という形で認めてもらったそうです。

「1回の手当額」の算出において、外部医師の日額をどのように考えるかは、監督署は賃金台帳をもとに確認します。ただし、非常勤医師や外部医師の日額はわからないケースがあり、監督署から本業先での日額を聞いてくださいと言われることもあるようです。ですが、このご時世に給与事情を聞き出すのは難しく、教えてくれるかどうかもわかりません。よって「他院での給与事情は確認できない」ということで問題なく、提出時は常勤のみの日額で計算、もしくは自院で日勤のある非常勤も含めて計算すれば構いません。常勤の人数が少ないなら、勤続年数に応じた「賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金」より最低額を算出するケースもあります。

法人の目指す姿や医療体制を考慮の上対応を進める

ベストな形で取得するためのポイントは、「監督署は敵ではない」ということに尽きます。どうしても色んな指導をしたり突っ込まれたくないことを追求してくるイメージがありますが、現在はできる限り許可を出そうというスタンスです。親切な監督官も多く、心配なことがあれば正直に相談してみることをお勧めします。監督署によって、あるいは同じ監督署のなかでも監督官によって対応が異なることもあり、病院側からするとやりにくいのですが、うまく進まない場合は監督署の上の機関である労働局に相談するのも1つの手だと思います。

いくつか事例をあげましたが、ルール通りの申請できる病院の方が少なく、各病院で独自ルールや事情もあるでしょう。無理に変えるのではなく、今のルールのなかでうまく申請できる手段を考えることが重要だと思います。法令順守は必要ですが、そのために必要な体制を崩したり、今までの医療が提供できなくなると、元も子もありません。法人として目指す姿、医療体制なども考えたうえで対応を進めていきましょう。

医師の働き方改革

病院経営事例集アンケート

病院・クリニックの事務職求人

病院経営事例集について

病院経営事例集は、実際の成功事例から医療経営・病院経営改善のノウハウを学ぶ、医療機関の経営層・医療従事者のための情報ポータルサイトです。