第638回中医協総会 ~資料の要約

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2025年12月24日に中央社会保険医療協議会 総会(第638回)が開催されました。公開された資料に基づき、「新型コロナ治療薬の評価見直し」「骨密度検査の算定適正化」「新規開業規制」「遠隔心臓リハビリテーション」の4点について、その影響と対策を解説します。

1. 新型コロナ治療薬:DPC・包括病棟での「出来高算定」終了へ

DPC/PDPSにおける新型コロナウイルス感染症の扱い

これまでコロナ治療薬はDPC/PDPS制度や地域包括ケア病棟などの包括評価病棟において、特例的に「出来高算定(包括除外)」が認められてきました。しかし、今後はこの特例を廃止し、本来の包括評価へ組み込む方向性が示唆されています。

資料では、5類感染症移行(2023年5月)以降、入院診療の実態が変化していることを指摘しています。具体的には、2024年度改定のデータ対象期間中は法的位置づけの変更がありましたが、2026年度改定に向けたデータ対象期間(2024年10月〜2025年9月)では位置づけの変更がないため、診断群分類の設定が可能であるとの論点が提示されました。

これにより、DPC対象病院では、新型コロナを医療資源病名とする症例について、独自の診断群分類が設定されるか、既存の肺炎等の分類に統合される可能性があります。また、地域包括ケア病棟や療養病棟においても、これまで出来高で請求できていた高額な抗ウイルス薬(ラゲブリオ、パキロビッド等)が包括点数に含まれることになれば、薬剤コストが経営を圧迫するリスクがあります。

2. 骨密度検査:ガイドライン踏まえ「年1回」へ制限か

検査部門の収益に関わる点として、骨密度検査(骨塩定量検査)の算定要件見直しが挙げられます。現行の診療報酬点数表では「4月に1回」の算定が可能ですが、関連学会のガイドラインでは、骨粗鬆症の経過観察における測定間隔は「原則として1年以上」とされています。

資料では、この乖離が課題として挙げられており、「ガイドラインにおける推奨を踏まえ、骨塩定量検査の算定要件についてどのように考えるか」という論点が示されました。これは、医学的な必要性が乏しい頻回な検査を抑制し、算定回数を「年1回」程度に厳格化する動きと捉えられます。

ただし、ガイドラインには「新規骨折の発生」や「薬剤変更時」など、例外的に短期での測定を推奨するケースも記載されています。今後の改定では、原則の期間を延長しつつ、医学的必要性がある場合の例外規定をどう設定するかが焦点となります。

3. 外来医師過多区域への新規開業規制:指定期間短縮と報酬ペナルティ

外来医師過多区域における新規開業希望者への地域で不足している医療機能の提供の要請等のフローイメージ

病院の戦略、特にサテライトクリニックの展開や法人内の医師配置に関わる重大な変更点として、医師偏在対策に伴う新規開業規制の強化があります。改正医療法に基づき、都道府県が定める「外来医師過多区域」で新規開業する場合、地域で不足している医療機能の提供が要請されます。

この要請に応じない医療機関に対しては、保険医療機関の指定期間が通常の6年から「3年」に短縮される措置が導入されます。さらに今回の議論では、こうした医療機関に対して「機能強化加算」や「地域包括診療加算」など、かかりつけ医機能に関連する診療報酬項目の算定を制限するかどうかが論点に挙がりました。

これは、都市部での安易な開業や分院展開に対する事実上の経済的制裁となり得ます。都市部で展開する医療法人にとっては、単なる立地選定だけでなく、地域医療構想に基づいた「不足機能(救急、在宅、小児等)」を補完する事業計画が不可欠となります。

4. 遠隔心臓リハビリテーション:新技術の評価と施設基準

新たな増患対策・差別化要因として注目されるのが「情報通信機器を用いた心大血管疾患リハビリテーション」です。専用のエルゴメータとウェアラブル心電計を用い、在宅の患者に対して遠隔モニタリングを行うプログラム医療機器が薬事承認されたことを受け、その診療報酬上の評価が議論されています。

論点は安全性です。現行の心大血管リハビリテーション料は、専任医師の常時勤務や専用機能訓練室の設置、急変時の対応体制などを厳格に求めています。遠隔実施の場合、患者の自宅での急変(心事故等)にどう対応するかが課題であり、学会ステートメントでも「ケアギバー(介護者・家族)が状況把握できることが望ましい」とされています。

今後、遠隔心リハに対する新点数あるいは加算が設定される可能性がありますが、その算定要件には、緊急時の搬送体制や常時の通信環境確保など、高いハードルが課されることが予想されます。循環器内科を標榜する病院にとっては、早期の参入検討と体制整備が競争力確保の鍵となります。

情報通信機器を用いた心大血管疾患リハビリテーション

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