「中医協」とは ~いまさら聞けない医療・介護業界用語Vol.5

いまさら聞けない医療・介護業界用語

ニュースや資料でたびたび見かける医療・介護業界ならではの用語。当シリーズでは医療制度や介護制度、病院経営に関する用語を解説します。今回は「中医協」について取り上げていきましょう。

中医協(中央社会保険医療協議会)とは

中医協は「中央社会保険医療協議会」の略称で、厚生労働大臣の諮問に応じて診療報酬等を審議する機関です。日本の医療保険制度における、医療サービスの公定価格である診療報酬を実質的に決定する、非常に重要な役割を担っています。

診療報酬を決定する重要な諮問機関

中医協は、厚生労働大臣からの諮問を受け、診療報酬の改定案をとりまとめ、答申します。この答申によって、診療報酬が改定されます。診療報酬は通常2年に1度改定され、その内容は個々の医療機関の収入に直結するため、中医協の議論は常に医療界から大きな注目を集めています。

中医協の組織構成と委員の役割

中医協は、以下の3者から構成される合計20名の委員で組織されています。この三者がそれぞれの立場から意見を述べ、議論を重ねていきます。立場が異なる委員が議論することで、国民皆保険制度の持続可能性と医療の質の担保という両面から、バランスの取れた診療報酬改定が目指されています。

  • 診療側委員(1号側): 7名
  • 支払側委員(2号側): 7名
  • 公益委員(3号側): 6名

中医協における各委員の役割と立場

次に中医協の各委員がどのような立場を代表しているか見ていきましょう。

診療側委員(1号側):医療現場の声を代表

診療側委員は、医療サービスを提供する側の代表です。主に医師会、歯科医師会、薬剤師会の役員から選ばれます。医療の質の維持・向上や、医療従事者の労働環境改善、医療機関の安定経営といった観点から、診療報酬の引き上げや手厚い評価を主張します。

支払側委員(2号側):保険料を負担する国民の視点

支払側委員は、保険料を支払う側の代表です。健康保険組合や国民健康保険、経営者団体の代表者などから選ばれます。彼らは、保険料を負担する国民や企業の立場から、医療費の適正化や負担の軽減を求め、診療報酬の引き下げや効率化を主張する傾向にあります。

公益委員(3号側):中立的な立場で議論を調整

公益委員は、診療側・支払側のどちらにも属さない中立的な立場の代表です。経済学や法学などの学識経験者から選ばれます。客観的なデータや専門的知見に基づき、両者の意見を調整し、国民全体にとって最適な結論を導き出す役割を担います。最終的な答申案のとりまとめにおいて、キャスティングボートを握る重要な存在です。

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