看護必要度はDPCデータに代替される?入院基本料見直しに備えるには―診療報酬請求最前線

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診療報酬請求最前線

今回は2018年度診療報酬改定から、一般病棟入院基本料の評価手法の見直しについて取り上げたいと思います。見直しでは「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)とDPC情報に注目が集まっており、しっかりと押さえておきたいポイントです。

EF統合ファイルをめぐる変化と問題、今後の対応

重症度の評価方法は議論中ではありますが、現行の看護師等による手作業の判定手法(看護必要度)に加えて、新たに「診療実績データ(DPC情報)を用いた判定方法」が導入されるようです。医療機関はこの議論の内容をしっかりと押さえて、自院のとるべき対策をいち早く認識し、行動に移す必要があります。

ここで用いられるDPC情報は、医事算定情報(EF統合ファイル)です。このデータは日頃、医療現場で入力される実施データや、医療行為から発信される会計用のコスト情報(診療行為の点数や薬剤料など)が基になり、これらを医事算定担当者がレセプト用データとして作成しています。つまり、医療機関の事務レベルによってデータ精度に差が出ています。

とはいえ、データ精度差の問題は昨日今日始まったわけではなく、出来高算定の頃には算定漏れといった視点で議論され、精度の向上が図られていました。それがDPCに切り替わってからは、むしろ包括算定になったので、医療現場の手間となるデータ入力は適当に扱われてきたのも事実です。医事算定側では、カルテ情報や伝票などから情報漏れを無くす努力をしていますが、細かい部分まで目が行き届かないこともあります。中でも、DPC算定下の病棟内処置などは包括部分にあたるため、特に見えていないところでした。

そもそも、EF統合ファイルは、レセプト請求に付帯して提出する付録のようなデータという一面もあります。DPC請求のコーディングデータ、データ提出加算に付帯するデータファイル、厚労省DPC調査への提出物といった使われ方をされ、言い方は悪いのですが一線から外れた、いわば自動的に医事システムから出力されるものでした。

しかし、今回の改定でEF統合ファイルが、看護必要度に代わって重症度評価に活用されるとすれば、2018年度以降は入院基本料の施設基準に関わる最重要指標として、病院経営を支えるデータとなるわけです。そこで医療機関にとって何よりも重要になるのがデータの正確性になります。つまり今、まさに重要な対策は、医事算定情報の精度向上となります。

看護必要度で本当に重症度はわかるのか

では、具体的にどこを見ていけばいいのでしょうか。このヒントは、中央社会保険医療協議会(中医協)の下部組織「入院医療等の調査・評価分科会」における議論で示されています。次の図は、 2017年11月の分科会で示された資料です。

※中医協の資料から抜粋。画像をクリックすると大きくなります。

これほど細かい評価上のマスター情報を公表した資料は、この時しか出ていないと思いますので、大変貴重です。これを見ると、EF統合ファイルと現行の看護必要度との矛盾(不一致)がどこにあるのか、明確にわかります。

図の下にはその差が大きい項目が示されており、「創傷処置」「呼吸ケア」「心電図モニタ−の管理」「シリンジポンプの管理」については、医療機関側(EF統合ファイル)の入力漏れが多いことを指摘しています。一方、点滴ラインや救急搬送後の入院については、該当有無の判断にズレがあることがわかります。中医協の議論では常々、判断が主観的になっていることが問題視されていて、たとえば重症患者を対象にした「救急医療管理加算」においては看護必要度を用いず、算定要件に直接、重症度の判断基準を設けるに至ったことは理解ができます。

上記のような観点から、7:1入院基本料を取得している医療機関は、他の項目も含めて早急に自院の情報を確認する必要があるのです。

次回は看護必要度について、改定の方向性や注意点、影響等をさらに掘り下げて見ていきましょう。

【著者プロフィール】須貝和則(すがい・かずのり)
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター医事管理課長/診療情報管理室長、国際医療福祉大学院 診療情報管理学修士。1987年、財団法人癌研究会附属病院に入職後、大学病院や民間病院グループを経て現職。その間、診療情報管理士、診療情報管理士指導者などを取得。現在、日本診療情報管理士会副会長、日本診療情報管理学会理事、医師事務作業補助者コース小委員会 委員長などを務める。
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