「高齢者住宅」とは ~いまさら聞けない医療・介護業界用語Vol.19

いまさら聞けない医療・介護業界用語

地域包括ケアシステムの推進に伴い、高齢者住宅との連携の必要性はますます高まっています。 多様化する高齢者住宅の種類とそれぞれの特徴を解説します。

高齢者住宅とは?増加の背景と病院の役割

高齢者住宅とは、高齢者が安全で快適な生活を送れるように、設備やサービスが配慮された住まいの総称です。主に民間事業者が運営する「サービス付き高齢者向け住宅」や「有料老人ホーム」から、社会福祉法人などが運営する「特別養護老人ホーム」まで、多様な種類が存在します。 国が地域包括ケアシステムの構築を推進する中、急性期医療を終えた患者様が地域で安心して暮らし続けるための受け皿として、高齢者住宅の役割は非常に大きくなっています。病院としては、これらの施設と円滑に連携し、シームレスな退院支援を実現することが求められます。

高齢者住宅の主な種類と特徴

高齢者住宅は、根拠法や提供されるサービスによっていくつかの種類に大別されます。ここでは代表的な施設を比較し、その特徴を解説します。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

サ高住は、「高齢者住まい法」に基づく賃貸住宅です。安否確認生活相談サービスが義務付けられており、比較的自立度の高い高齢者を対象としています。外部の介護サービスを自由に選択できるため、入居者のニーズに合わせた柔軟な暮らしが可能です。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、食事の提供や清掃、洗濯などの生活支援サービスが付いた施設です。介護が必要になった場合は、サ高住と同様に外部の介護サービスを利用します。レクリエーションなどが充実している施設も多く、入居者同士の交流が活発な点が特徴です。

介護付有料老人ホーム

介護付有料老人ホームは、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。施設のスタッフが24時間体制で介護サービスを提供するため、要介護度が高い方でも安心して生活できます。看護師が常駐している施設も多く、医療的ケアへの対応力が高い点が特徴です。

特別養護老人ホーム(特養)

特養は、社会福祉法人や地方公共団体が運営する公的な介護施設です。原則として要介護3以上の高齢者が入居対象となります。終身にわたる手厚い介護を受けられ、費用も比較的安価なため、入居待機者が多いのが現状です。

医療ニーズで見る高齢者住宅の選び方

病院経営者の視点から、患者の状態に適した高齢者住宅を選ぶためのポイントを解説します。

医療依存度の高い患者の受け入れ先

喀痰吸引や経管栄養など、日常的な医療的ケアが必要な患者様の場合、看護師が24時間常駐する介護付有料老人ホームや、医療機関との連携が密な一部のサ高住が主な選択肢となります。退院カンファレンスなどを通じて、受け入れ可能な施設の情報を事前にリストアップしておくことが重要です。

リハビリを継続したい患者様に適した施設

脳卒中後などで継続的なリハビリテーションが必要な患者には、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)を配置している施設や、近隣の通所リハビリテーションと連携している高齢者住宅が適しています。

看取りまで対応可能な高齢者住宅

看取りへの対応は、施設の方針や体制によって大きく異なります。終末期の患者を受け入れてもらうためには、看取り介護加算を算定している施設や、協力医療機関として自院が密に連携できる体制を構築できる施設を選ぶことが、患者および患者家族の安心につながります。

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