【医師の働き方改革】医師が不満に感じる「労働時間にカウントされない作業時間」とは?


エムスリーキャリアでは、現役医師733人に向けて「医師の働き方改革」に関するアンケートを実施しました。
今回はアンケートから、「不満に感じる”労働時間にカウントされない時間”」について、医師がどんなことに不満をもっているか、回答結果を紹介します。

調査概要:
・調査内容:”医師の働き方改革”に関するアンケート調査
・回答者数:エムスリーキャリアに登録している医師733名
・回答期間:2023年1月末~2月上旬


「労働時間にカウントされない時間」だが、不満に感じる作業時間

「労働時間にカウントされない時間」だが、不満に感じる作業時間があれば、具体的な内容・拘束時間を教えてください

上記の質問に対して、医師から多く意見をいただきました。内訳は以下の通りです。

このように、「労働時間にカウントされない時間」だが、不満に感じる作業時間として、
最も多く挙げられたのは「自己研鑽」に関わる項目でした。

自己研鑽に対する医師の不満の声

では、実際にどんなことを不満に思っているのか、コメントを一部紹介していきます

・自己研鑽の時間をどのように理解してカウントするかが不明瞭である
・教育や論文作成は結局自主的に申告できない空気である
・業務に必要な時間を全て労働時間として申請すると問題視されるため、大半を自己研鑽扱いせざるを得ない
・診療中以外は自己研鑽とするよう言われている
・(不満なことは)自己研鑽の全て。医師業務のための時間なので労働時間にカウントして給与を出すべき

このように、自己研鑽は定義が不明瞭であったり、暗黙の了解として労働時間として申告できない空気があるようです。

2024年4月以降は、医師の労働時間を明確に定義する必要がでてきます。
医師の働き方改革において、「自己研鑽」は、黙示の指示があったと認められる場合や、本来業務との関連性が高いと判断される場合は労働時間となります。

医療機関側としては、これまで暗黙の了解として労働時間にカウントしていなかった作業だとしても、実際には労働時間とみなすべき作業時間である可能性があるのです。

そのような、労働時間か自己研鑽か判断がつかないあいまいな作業時間が多くある場合、医師とのトラブルに発展するだけでなく、医療機関には追加で賃金を支払わなければならないリスクが発生します。

医師とのトラブルを回避するために

そういったリスクを避けるために、どこまでを労働と定義するか、医師と事前に定義のすり合わせを行うことが重要です。
自己研鑽の定義が医療機関と医師で相違がある場合、基本的には厚生労働省が定義する内容をベースに、双方が合意する形にて決定となります。

①業務との関連性があるか否か
②制裁等の不利益があるか否か
③上司の明示・黙示の指示があるか否か

具体的な管理手段

さらに、医師との認識のズレを発生させないために、就業規則や雇用契約書に定義を明記しておくと安心です。

「労働時間」の条文に、「労働時間とは職員が法人(管理者)の指揮命令下にある時間をいい、所定外労働時間中の上司の指示によらない診療上必要とは判断できない行為(自身の論文執筆、研究等)については、労働時間とみなさない」などの記載をする方法や、

自己研鑽とみなす行為を具体的に列記してもいいかと思います。
条件や、判断基準は病院によって異なりますが、一例を紹介します。

・勤怠システムを通じて自己研鑽の時間を医師が自己申請(判断も医師に任せている)
・残業申請を行う際、自己研鑽に当たらない業務であることを明記し残業申請
・労務担当が1件1件判断しフィードバックを行う
・ビーコンにて勤怠管理を行い、医師が滞在していた場所によって自己研鑽か労働かを判断(医師の申告は不要)

まとめ

アンケート結果からわかるように、自己研鑽については医師の不満が募りやすい部分です。
今後、医師の働き方改革の取り組みとして、どこまでを自己研鑽とし、どこまでを労働とするかを明確にしなければなりません。
その際には、医師の声に耳を傾け、双方が合意を取った上で、不満が残らないような定義となるよう、是非改めてコミュニケーションを取ってみましょう。

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