
令和6年度の概算医療費動向
中央社会保険医療協議会は2025年9月16日、総会を開きました。今回発表された「令和6年度 医療費の動向」の概要をお伝えします。
医療費総額と全体動向
令和6年度の概算医療費は48.0兆円で、前年度比で1.5%の増加となりました。これは、令和元年度から6年度の平均伸び率である1.9%を下回るものの、引き続き増加傾向にあります。医療費の伸びの内訳を見ると、受診延日数が0.3%の微増であったのに対し、1日当たり医療費は1.1%増加しており、医療の単価上昇が全体の医療費を押し上げている構図です。
診療種類別の動向:入院医療費が全体を牽引
診療種類別に見ると、入院医療費が前年度比2.7%増の19.2兆円となり、全体の伸びを牽引しました。一方で、入院外医療費は0.9%の減少となっています。歯科は3.4%増、調剤は1.5%増でした。
病院経営で特に注目すべきは入院医療費の動向です。グラフに示されるように、コロナ禍で一度落ち込んだ推計新規入院件数は令和6年度にはコロナ禍前の水準を超えました。平均在院日数は短縮傾向が継続している一方で、1日当たり入院医療費は増加傾向にあります。これは、より短期間で密度の高い医療が提供されていることを示唆しており、各病院における診療の効率性と収益性の分析に重要なデータです。診療内容別に見ると、DPC包括部分や手術・麻酔、特定保険医療材料が医療費増に大きく寄与しています。

調剤医療費と後発医薬品の動向
調剤医療費は8.4兆円(前年度比1.5%増)でした。特筆すべきは後発医薬品の普及です。「後発医薬品割合(数量ベース)の推移」によると、後発医薬品割合(数量ベース、新指標)は上昇を続け、令和6年度末(令和7年3月)時点で90.6%に達しました。長期収載品の選定療養制度が開始されたこともあり、後発医薬品への移行は今後も続くと考えられます。これは、病院の薬剤費管理において重要な指標となります。
