「当院の方針になじめない医師はいりません」―。社会福祉法人大阪暁明館 大阪暁明館病院(大阪市此花区)の掲げる採用方針は明快です。「つぶれていないのがおかしいくらいの財務状況」に長年頭を抱えていた同院の行く末に一計を案じた債権者は医療法人伯鳳会に経営への協力を打診。こうして導入されたのが、明確なビジョンを踏まえ、客観的な評価に基づく人事考課制度とインセンティブでした。努力した職員にはそれに応じた待遇が約束される人事制度はどのように活用されているのでしょうか。
《今回インタビューにご協力いただいた方》
西岡崇浩氏(事務長)
求めるのは、チーム医療ができる医師
西岡氏
当院は宿泊施設「大阪暁明館」を前身とする総合病院です。赤字体質から脱するため2010年1月に伯鳳会グループが参画してから経営が好転。私の赴任時に20人を割っていた常勤医は現在、1.5倍に増えています。病床は370床が稼働しているものの100床はクローズ状態。器はあるので医師、特に内科医が集まればいつでもオープンできます。そこで、まずはフルオープンできるよう常勤医師を増加させて診療体制を整えていく計画です。若手からベテランまで年齢を問わず受け入れる考えですが、頭の柔らかい医師であれば好ましいです。
―どのように医師を集めているのでしょうか。
西岡氏
院長の人脈に依存していますが、大学医局を中心に集めています。やはり安定的に医師を確保できるのが魅力です。一方で、大学医局だけで全科を充足させるのは難しいため、人材紹介で補完しています。人材紹介経由で入職した方の―多くは期待通りに活躍してもらえていますが、中には残念ながら他職種との連携をスムーズにできない方もいらっしゃいます。
そのような課題を抱えている医師には私が直に話を聞き、場合によっては業務改善の提案をします。正直に話をすることは医師のプライドを傷つけかねず、業務遂行に支障が起こるリスクもあります。しかし、周りとなじめない医師が院内連携を崩すことのほうが大きな問題ですし、医師本人のためにも良くありません。
当院を含む伯鳳会グループではこのような問題を解決するために、人事考課制度を活用して取り組んでいます。医師の評価に当たっては、病院の上層部ばかりでなく、看護師やコメディカルスタッフなど日常的に医師と触れ合う職員の声も参考にしています。周囲からの評価が低い医師には、本人に「こんな苦情が出ていますよ」と伝えています。そうすると、それまで他職種からの急な依頼対応には消極的だった医師が、快く引き受けるようになって周囲との関係性を改善してくれるケースもあります。
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