医事課長 Tさん
40代後半、男性、病院事務職歴25年
医療系の専門学校を卒業し、3病院での勤務経験があります。医事課長としての勤務が10年を超え、年次昇給分以外、大きく給与が上がる可能性は低いです。次は事務次長ないし事務長を目指したいところですが、ポストが埋まっており、向こう7~8年は難しいでしょう。その期間をこのまま漫然と過ごしてよいものか、少し不安が生まれてきました。
また、長いこと同じ医療機関に所属しているため、現在の自分の給与が他の医療機関と比較してどの程度の水準にあるのか、よくわかりません。子どもたちもまだまだお金がかかるため、もしも収入アップが見込めるならば、転職という選択肢もありかと思っています。ちなみに昨年の年収は額面で750万円を少し下回るくらいでした。
このような理由で外に目を向けるのは甘い考えであるということは重々承知ですが、後悔のないキャリア選択をしたいです。市場の相場感や転職の可能性についてご教示いただけますでしょうか?
【回答者】雪竹舞子(事務職専門コンサルタント)
ご質問ありがとうございます。ご自身の待遇について客観視した上で次のキャリアを検討したいとお考えなのですね。それでは「転職による条件アップの可能性」と「転職市場における年収の相場感」、この2点についてお答えいたします。
まず、転職による条件アップの可能性について。率直に申し上げて、Tさんの現年収は相場を大きく上回っています。医療機関からお預かりする医事課長の求人の上限は一般的には700万円程度です。もちろん病院の規模や経験年数に応じて変動はありますが、年収750万円を担保もしくは上回る条件での転職はなかなか難しいでしょう。
次に、年収の相場感についてお伝えします。おおまかではございますが、弊社がお預かりする病院事務職の求人ですと以下が目安になります。
・事務長候補(事務次長):500~800万円
・医事課長:500~700万円
かなり額面に幅がありますが、これは前述したように、経験年数やご年齢、施設形態に応じて変動するためです。他院の方などにお尋ねするのは憚られる内容のため、エリアや担当業務などもふまえ、ご自身の希望に近い医療機関の求人をいくつか見比べてみると、より具体的な相場感がつかみやすくなるでしょう。
現在のTさんのご年収は、長く勤務されたご実績や昇格が加味された内容となっているのだと思います。もしTさんが年収アップを最優先事項としているのであれば、現職より年収が下がるリスクの方が高いため、転職はあまりおすすめできません。
ただ、現職では次のステップに進もうと思ってもポストが埋まっている、という点が少し気になります。ご年齢が50代に入ると、長期的な人材育成を見据えて採用活動を行っている法人からは検討いただきにくくなってしまいます。応募可能な求人数もぐっと減る傾向がありますから、事務次長や事務長にチャレンジしたいというお気持ちが強いようでしたら、40代のうちに転職で事務長補佐や事務次長へのキャリアアップを目指すのも一手でしょう。
まずは今回お伝えした相場感もふまえた上で、Tさんがご定年までどう過ごされたいのか、改めて整理してみてはいかがでしょうか。その中で、キャリアプランやワークライフバランスといった新たな視点での疑問が生じた場合にはぜひまたお問い合わせください。
エムスリーキャリア株式会社 経営支援事業部 事務職紹介グループ
大学卒業後、企業にてBtoC営業とセミナー企画・運営に従事。兄弟が先天性の疾患を抱えていたことから、思い入れの強かった医療業界に飛び込むべく、エムスリーキャリアに入社。現在は、前職での営業経験も活かしながら「顧客ファースト」を信念にキャリアコンサルタントとして活動中。趣味はミュージカル・舞台鑑賞で、月1回の鑑賞を欠かさない。
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