【質問者】医事課主任 加藤弘美さん(仮名)
40代前半、女性、医療事務歴 約20年
先日、もともと医事課長を務めていた者が退職し、実質わたしが課長の役割を務めるようになってきました。
私が医事課長後任者となるべきと周囲からの後押しはあるのですが、女性の管理職を置く気がない古典的な考え方の病院なので、課長やさらに上のポジションを狙えない状態だと思っています。わたしとしてもこれまで、成果を出し、上司には何度か昇進希望を伝えていますが、受け入れてもらえる気配がありません。
今後の人事次第ではありますが、最近は昇進を諦め、転職を考え始めています。わたしのような者でも、評価していただける医療機関はありますか?レセプトのことは誰にも負けない自信がありますし、DPC準備病院のためデータ提出も中心的に行っています。
【回答者】堀口航平(事務職専門コンサルタント)
ご相談ありがとうございます。男女共同参画社会が叫ばれて久しい昨今、まだ、そのような考え方の病院があるとは残念です。
周囲の期待、またこれまでの加藤さんのご希望通り、現職での昇進が叶いそうであればとも思いますが、今回は「転職先があるかどうか」とのご相談ですので、そちらを中心に回答させていただきます。ご謙遜なさっているようですが、結論から言えば、加藤さんのような方を受け入れたい医療機関は多いかと存じます。
昨今、最も医療機関に求められている人材は加藤さんのように「医事課長・主任クラス」の方が中心となっています。この背景には年々厳しくなっていく診療報酬改定対応をはじめ病院収益の要である医事課業務を、派遣職員中心から、自前での体制に移行していこうとしている医療機関が多いことが背景にあります。
このように医事課の体制を整えようとする医療機関にとって大きな課題となるのが、「では誰が実際に体制を整えるのか」という点。医事課職員を育成してこなかった、ベテラン勢が退職をむかえてしまったといった理由で、加藤さんのように経験豊富な方を医事課長・幹部候補として招聘しようと考える医療機関は増えています。
もちろん医事課長としての招聘において、男女の隔たりはありません。むしろ、女性職員の多い医療機関では、女性の気持ちを理解できる管理職の需要が高まる傾向にございますので、その点はご安心いただければと思います。
加藤さんは、医事課の経験だけでなく、DPC導入に向けた業務も行われているとのことですから、その能力を欲しがる医療機関は多いでしょう。また、将来的には事務長というポジションも視野に入ってくることが予想されます。これは、医療経営の専門性が高まる中、事務長を他業種から招聘するより、医療事務の経験が長く、施設基準や診療報酬に精通した方を登用したいという経営者が増えているためです。
加藤さんのおっしゃるような男女差別が未だあるのは残念なことですが、それに負けることなく、ぜひご自身のキャリアを歩んでいってください。
新潟大学大学院自然科学研究科修了後、人材紹介会社の創業に参画。中小・ベンチャー企業を中心に、年間100名以上の就職支援を行う。その後、エムスリーキャリア株式会社に入社し、医師採用コンサルタントとして全国の医療機関を支援。現在は、医療コンサルティング部門にて事務長紹介サービスを担当。
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