
北海道の北部、上川北部地域医療圏の地域医療を支える士別市立病院(北海道士別市)。コロナ禍による経営打撃を乗り越えるため、エムスリーキャリアのプライムサービスを利用し年間3,000万円を超える経営改善を達成しました。経営改善がうまく進んで要因や背景について、同院の中舘佳嗣副院長に話をうかがいました。
コロナ禍の経営打撃を乗り越えるため、経営強化プランを検討
――エムスリーキャリアを利用して、病院経営改善に取り組もうと思った経緯を教えてください
当院は北海道の北部、上川北部地域医療圏129床のケアミックス病院です。2023年当時はコロナ禍による経営的な打撃や業務負荷の拡大の影響で、従来の3病棟体制を将来に渡って維持することが難しいのではと感じていました。今後の病棟見直しを含めた経営強化プランの検討を進めていた時に、エムスリーキャリアさんから病棟経営について提案をいただいたのが始まりです。その後、病棟再編の支援を受けた後の2024年にレセプト改善と病棟のベッドコントロール指針の策定支援をお願いすることにしました。
データをもとに基準がわかるため、レセプト請求に安心感がある
――レセプト改善の提案を受けてみていかがでしたか。
まず、信頼を寄せていたエムスリーキャリアさんのチームが支援を継続していただけるという安心感と、結果を出さなければ報酬が発生しないというシステムは非常に魅力を感じました。さらに心強いなと思った点は、レセプトについて「全国的にこのような内容だったら申請が通っている」というデータに基づいたアドバイスを受けられたことです。地域や査定員によって請求の通る・通らないが変わることは事実です。ですが、一般的な水準を把握したうえで業務に臨めるという点は現場の心理的な負担軽減に効果的でした。
というのも、当院では過去に救急医療管理加算1を積極的に算定しようと取り組んだことがあったのです。しかし、返戻が何度か発生していく内に、二の足を踏むようになっていました。
そうした背景があっただけに、救急医療管理加算1・2の増収可能額の試算を見たときは驚きました。最初は本当に算定できるようになるのか不安もありましたね。ですが、「呼吸器ならば吸入酸素濃度のデータを取って、ほかにこんな検査をしている場合、全国的に加算が取れています」と根拠をもって説明してもらえるので、ならばやってみようと前向きになれました。
客観的なデータに基づいた提案で院内の理解を得る
――実際にレセプト改善の取り組みを進めるなかで、感じたメリットはありましたか?
かねてより、「人手が足りなくて忙しい」と従来のやり方を変えることを敬遠する現場の声はありました。ですが、エムスリーキャリアさんの、当院と類似した規模・病床機能の病院群の人員配置等の分析では決してスタッフが不足している訳ではありませんでした。こうしたデータを基に、自分たちも工夫次第で診療報酬加算をさらに改善していける、という意識が広がってきたと感じています。
これまでの経営改善を進めてきた経緯の中で、少なからず部門間の感情的な摩擦も起きてきたこともありますが、エムスリーキャリアさんの客観的な分析に基づいた説得力のある改善案が各部門の協力を得ることにつながった感覚がありますね。エムスリーキャリアさんはデータ分析や提言だけではなく、実際に医局会議に参加し医師への改善案をプレゼンしてくれた点も心強かったです。おかげさまで、院内での慣習にとらわれない納得感の高い合意形成をスムーズに図ることができました。
――レセプト改善の成果について教えてください
救急医療管理加算1の算定率が3割から約9割まで上昇し、入退院支援加算やリハビリテーションに関する各項目なども算定率が向上しました。もともと年間1000万円の収益改善につながれば良いと思っていましたが、実際は3000万円を超える成果があがりました。まさに嬉しい誤算でしたね。
――今後の展望を教えてください
経営改善は、当院の理念である「患者さん中心の医療」を実現するための手段です。北海道士別市では高齢化が進んでおり、地域完結型の医療を支えるためには院内の医療だけでなく、訪問看護やリハビリテーション・生活支援ネットワークにまで視野を広げなければなりません。とはいえ、当院では年3,000件近くの二次救急に対応しており、ケアミックス機能を確保しておくことも必要です。当院がどのような役割を発揮するのが地域にとって最善なのかを今後も追求していきます。地域医療連携推進法人としての機能を活用するとともに、当地域における地域包括ケアシステムの実現を目指していきます。











