医師という職業とは―医師への選択、医師の選択【序章】

著者:野末睦(あい太田クリニック院長)

医師は現在の日本人にとって、最もなりたい職業の筆頭に挙げられるものかもしれません。収入が安定し、社会的ステータスも高く、そして何よりも、人の役に立つということを実感できる職業だからではないでしょうか。

しかし一方では、「悪徳医師」、「金儲け医師」、「医者の風上にも置けない医師」などの表現が世の中にあるように、理想とは程遠い医師が少なからず存在することも事実です。
私は、現在57歳の医師ですが、大学病院で医師としてのスタートを切った後、大学院、海外留学などを経て、大学の講師となり、医学生の教育、研究、臨床に従事した後、地方の総合病院の院長を12年余にわたり勤め、最近、関東地方の地方都市で開業いたしました。

神の手などと評していただけるほど、天才的な外科医ではありませんが、平均レベルはクリアしていると自負する外科医です。加えて、前段で書きましたように、医師として考えうるキャリアをほぼ経験して参りました。自分ではまだまだ発展途上の医師であると考えていますが、周りの方の中には、私を高く評価してくださる方もいらっしゃるようです。

ですから、医師になるまでも含めた、私の多岐にわたる経験、そしてそれらのキャリアを選択した時の判断基準などについてお話すると、これから医師を目指す若者の皆さん、これからどのように自分のキャリアを積んでいったらよいか模索している研修医、さらにはリーダーシップを取る立場になって、マネージメントについて考え始めた医師の皆さんなどが、様々なことを決断する際の参考になるのではないかと思います。

私は、ほぼすべての人に、医師になるための基本的な才能は備わっていると感じています。そんな中で、医師になれるか、人のためになる医師になれるか、これらは、やはりしっかりとした選択に基づいた行動を行うかどうかではないかと、心の底から思っています。ですから、皆さんがこの連載を読んで、しっかりと自分の意志で、自分の行くべき道を選択し、実践されんことを、そしてその結果として素晴らしい医師人生を歩まれることを願ってやみません。

連載にあたり、各項目にトピックとなる質問を投げかけ、それに関する私の体験をできるだけ時系列でお話し、質問に対する私なりの答えを示すという形式で進めていきたいと思います。ただし、基本的には私の個人的な体験に基づいた、個人的な見解であるとご理解いただければ幸いです。

 

野末睦(のずえ・むつみ)

医師という職業とは―医師への選択、医師の選択(野末睦)筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。

 

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