著者:野末睦(あい太田クリニック院長)
質問:どんな習慣を身に付けるべきでしょうか?また、劣等感から学べることとは?
※編注:質問に対する「私的結論」を次回掲載します。
中学、高校時代において、大事なことは良い習慣を身に付けることと、よいセルフイメージを形成しつつも、劣等感を味わって謙虚さを身に付けることではないでしょうか。
医学部に進学した多くの方にとって、中高時代は成績のいいグループに属していたのではないでしょうか。私も例外ではなく、担任の先生からは、かなりいいところにいると聞いていました。それが、中学1年生の12月くらいに、「だいぶ成績が下がって、野末君らしくないよ」と担任の先生から言われたのです。バレーボールに明け暮れていて、家に帰ると、せいぜい一時間の勉強をするのがやっとでしたので、無理もないことだったと思います。このことを親に相談すると、その頃は退院して家にいた母親から「それなら朝早く起きて、頭の冴えているうちに勉強しなさい」と言われました。幸いテレビは観ないようになっていたので、夜は20時に寝て、朝4時に起きるという生活を1月から始めました。そうやって6時までの約2時間、毎日勉強したのです。そうすると、すごい効果が現れました。3学期の期末テストでは、学年一番となったのです。ただ、少し体には無理がかかっていたのかもしれません。春休みに体を壊してしまったので、2年生になってからは、4時起きは一時中断しました。
しかし、一度一番になると、なかなか成績は下がりません。特に3年生になってからは、ずっと一番だったようです。ところが受験も迫った3年生の1月の試験で、2番になりました。担任の先生が、「野末君、何かあったのか」と聞くほど、珍しいことだったようです。私も何となく居心地が悪かったので、4時起きを復活させました。その甲斐あって、受験直前のテストでは、再び一番に返り咲くことができました。
今振り返ってみると、早起きの習慣は、私にはとても合っていたということと、自分のセルフイメージがいつの間にか、学年一番というところに設定されていたので、何かあるとそこに戻るように、無意識に、あるいは意識的に行動するようになっていたなあと思うのです。そして、この原稿も毎朝起きてからの1時間弱を使って書き進めていることを考えると、この頃の習慣の確立というのは、一生涯にわたって影響を及ぼすものかもしれないと思います。どんな習慣を若いうちに付けるか。これも大事な選択の一つですね。
野末睦(のずえ・むつみ)
筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。
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