【特別対談】持続可能な地域医療インフラの構築へ。新しい地域医療のあり方に挑戦 

北海道の道東に位置し、阿寒摩周国立公園など世界に誇る豊かな大自然を有する、弟子屈(てしかが)町。同町はエムスリーキャリアをパートナーとして迎え、「持続可能な地域医療インフラの構築」に向けた新たなプロジェクトを始動させました。弟子屈町の德永哲雄町長とエムスリーキャリア株式会社の沼倉敏樹代表取締役に、今回のプロジェクトに込めた双方の思いや、将来のモデルケースとなり得る「これからの新しい地域医療のあり方」についてうかがいました(本件に関するプレスリリース記事はこちら)。

ビジネスを超えたパートナーシップ。地域医療の未来を共に背負う

德永町長(以下、德永):町内でご活躍いただいてきた医師2名が高齢のため引退され、民間の内科医院2件が閉鎖される運びになりました。それにより、基幹病院である摩周厚生病院をはじめ地域の医療機関の負担が大きくなることは明らかであり、新たな医師の招聘が必要になりました。弟子屈町は観光地でもあり、町民はもちろん、訪れる方々のためにもしっかりとした医療体制を整えなければならないという強い危機感は常にもっています。
プロポーザルを進める中で、エムスリーキャリアさんが全国規模で医師採用の取り組みをけん引していることを知りました。決め手のひとつには、沼倉代表が道東の大樹町出身だと聞いたこともあります。「この会社なら道東の地域医療の実情をわかってくれる」と確信しました。

沼倉代表取締役(以下、沼倉):私は北海道広尾郡大樹町の出身です。東京に出てきて2010年から医療ビジネスに関わっていく中で、いかに地元の医療環境が脆弱だったか、都心と格差があるかをたびたび痛感してきました。地方の医療資源不足に対して、会社としてできることはないかとずっと考えてきたので、ご縁をいただき本当に嬉しく思います。発注者と受注者という関係に留まらず、「地域医療の未来を共に背負うパートナー」として伴走する覚悟です。

人口6,000人の町が最大1.5億円を支援。行政が医師とリスクを共有する覚悟

德永:今回の最大1億5,000万円という支援は、議会や町民と危機感を共有し、議会全員の賛同を得た異例の決断です。これは単なる補助金ではなく「町民の安心への投資」として捉えています。経営が軌道に乗るまでの経済的支援というだけでなく、医師本人やそのご家族が町で有意義に暮らせるよう、行政が間に入って丁寧にサポートしていきます。

沼倉:医師や診療所の招聘について自治体の方にお話をうかがうと、「議会の賛成を得られない」「地域の開業医や基幹病院から反発される」といったお悩みが少なくありません。その点、弟子屈町では強固な信頼関係のもと、地域全員で地域医療を良くするというベクトルが揃っていてすばらしいですね。

德永:町民を守っていくために地域に何が必要か、常にそれだけを考えてきました。25年間、町長として地道に積み重ねてきた結果、周りの理解を得られたのだと思います。 新しい医師が来て診療所ができることで、他の医療機関を経営不振にさせたいわけはない。むしろお互いに補い合い、高め合っていく関係性を実現していただきたい。そのために必要な費用ならば、行政としても支えていこうという姿勢です。

沼倉:昨今の物価高や医療機器の高騰もあり、地方開業は医師個人に相応の負担やリスクが伴う時代です。その中で、初期費用からスタッフ採用、ランニングコストまで「行政が一緒にリスクを背負う」という町の包括的な伴走姿勢には心から敬意を表します。「医師一人にすべての責任を負わせない」というこの制度は、医師にとって大きな安心感につながります。

医師個人の気概だけに頼らない。チーム医療とテクノロジーでインフラを「仕組み」化する

德永:医師を呼んで終わりではなく、定着して初めて成功と言えます。そして定着のためには、町民の気質や厳冬期の環境など、暮らしの中で初めて見えてくる不安のタネを我々が丁寧に解消していく必要があるでしょう。こうした弟子屈の地域性にまつわる諸問題について、移住してきた医師のパーソナリティを尊重しつつ、行政としてしっかりと寄り添っていく所存です。そして、医療機関の経営や医療人材の採用については、エムスリーキャリアさんの力添えをいただく。それぞれの役割を発揮していくことで、「10年以上の定着」が叶うと考えています。

沼倉:地域医療に貢献したいと移住を決断するような医師は、人格的にも優れた方が多いです。しかし、医師の「気概」だけに頼った運営では、いずれ限界が来てしまいます。現代において、純粋な個人開業で10年間医療機関を維持することは、決して簡単ではないからです。
だからこそ、弊社ではコンサルティングとしての経営支援に留まらず、オンライン診療などを活用して医療インフラを「仕組み」から町と一緒につくっていきたいと考えています。

德永:医師に限らず医療資源が不足している地域だからこそ、医師一人がすべてを抱えるのではなく、看護師や事務職などを含めた「多職種ユニット」として採用を支援していただける点を心強く思っています。ハード面もソフト面も揃った環境で安心して質の高い医療を提供していただきたい。また、町が広大で通院が困難な農家の方々も多いため、訪問看護や遠隔診療など、自宅にいながら適切な医療を受けられる仕組みも将来的には検討していく必要があると感じています。

沼倉:たとえば、糖尿病の専門医はほとんどが都市部に偏在しています。オンライン診療を活用することで、地方にいながら現地の医師と連携して専門的な診療を届けることができます。現地の医師に負担を過度に集中させることなく、「医師も住民も町も幸せになる」の”三方良し”の実現をサポートすることが私たちの目標です。

弟子屈から全国へ。新たな官民連携が地域医療の未来を照らす

阿寒摩周国立公園

德永:弟子屈町には摩周湖や屈斜路湖など、世界に誇る独自の美しい自然があります。現在、中心市街地や川湯温泉地区の再開発も進み、町はダイナミックに動いています。移住して起業される方も多く、新たな人材を温かく受け入れる土壌は整っています。子どもたちの教育や医療を充実させ、高齢者が安心して暮らせる町にする。その一環としてしっかりとした医療提供体制が整えられれば、これ以上幸せなことはありません。エムスリーキャリアさんには、安心して適任者の確保に取り組んでいただきたいです。

沼倉:弟子屈町は雄大な自然がある素晴らしい土地です。 35万人弱いる医師の中から、「弟子屈町に住みたい」という人を見つけてくるのは、決して不可能な話ではないと確信しています。
また、私どもは「地方にこそしっかりとした医療インフラが必要」という強い思いがあります。弊社が提案する「患者来院型オンライン診療」をはじめ、医療DXのノウハウを適切に組み込んでいくことで、弟子屈の皆さんに幅広い専門診療を届けることもできます。旧来の形にとらわれない、全国の自治体が模倣できるような持続可能な官民連携のロールモデル(弟子屈モデル)を、弟子屈町の皆さんとともに創りたいと考えています。この挑戦を必ず成功させ、日本全体の地域医療の未来を弟子屈町から照らしていく決意です。

【本件に関するお問い合わせ先】
・北海道弟子屈町役場 健康こども課(北海道川上郡弟子屈町中央2丁目3番1号)
・エムスリーキャリア株式会社 自治体ソリューショングループ(東京都港区虎ノ門4丁目1番28号 虎ノ門タワーズオフィス)
URL:https://www.m3career.com/lab/
お問い合わせ先: https://www.m3career.com/contact/other/

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