病院事務職は言われたことをこなせばいいという時代ではなくなった―千葉県済生会習志野病院 石井仁氏【後編】

病院事務職のあり方は、どのように変化していくのだろうか。今回は、大規模プロジェクトに携わる中で、事務管理職としてのあるべき姿に気づき、それを実践している、千葉県済生会習志野病院・医事課課長の石井仁氏に聞いた。

事務職が病院経営の参謀として、より大きな価値を発揮するには

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加えて石井氏は、事務職が病院経営の参謀として価値を発揮するには、他部署の事情を汲み取ろうとする姿勢が大事だと語る。この仕事をやっていれば良いという守りの姿勢ではなく、まわりを巻き込んでいく姿勢が今後さらに求められると考えている。

「医事課長、総務課長など、課長レベルが横の仕事が分かっていれば、実質的にはみんなが事務長のような役割を担える。仮に6部署あれば、6人の事務長がいるわけです。本物の事務長を含めれば7人の事務長の頭があることになる。7人の侍ならぬ、7人の事務長ですね(笑)」
こうなると、あらゆる現場の意見や事情に精通することなり、事務から経営層への提言を行うことが出来るようになるのである。
「経営層から頼りにされる事務組織を作っていきたい。そのためには、管理職が横の仕事や事情を知っている必要がある」―事務職のあるべき姿について、石井氏はこのようにまとめた。

医事課長が語る今後のキャリア

事務管理職として、これからも学ぶことは多いと石井氏は語る。

「まだまだいろいろなことを経験してみたいです。他部門の仕事も見てみたいですし、他の病院が何をやっているのかも知りたい。一般企業がどのようになっているかも知りたいですね。当院ではできていないことが、他院や一般企業で当たり前に行われているかもしれませんから。当院をもっと良くするための仕組みが、いろんなところに眠っているはずです」

貪欲に学ぶ姿勢は崩さない。その上で、その学びを次の世代へアウトプットすることも考えているという。医事課のことだけをしていればいいという時代ではなくなっていく中、石井氏は若手事務職が幅広い業務を経験できるよう、配置転換を促進。積極的に他部署・他職種へ介入する姿勢を少しずつでも育み、次の世代にも石井自身のターニングポイントとなった経験を積ませている。極端な話であるが、来月石井氏がいなくなっても大丈夫なように、自分の分身となる後輩を作るようにし、後輩にどんどん自分の仕事を任せるように伝えているそうだ。

後進が育っていく中、空いた時間で他部門、上司や他職種を見るよう指導している石井氏。他部署とのコミュニケーション、他の業務理解の大切さを胸に、今もキャリアをまい進している。

 

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