なぜ亀田には医師が集まるのか-医療法人鉄蕉会 亀田クリニック【前編】

千葉県鴨川市、アクセスが良いとは言えない立地ではありながら、1日平均3000人もの外来患者が国内外からやって来る、亀田メディカルセンター。医療法人鉄蕉会亀田総合病院(925床)、亀田クリニック(19床)、亀田リハビリテーション病院(56床)の3事業所を中心として、千葉県南部の基幹病院としての役割を担っています。

研修病院としても人気が高く、亀田メディカルセンターの常勤医師数は約440人(2014年7月現在)にも上りますが、30年前の常勤医師数は、20人程度に過ぎなかったそうです。医師が集まる医療機関になるまでの軌跡とは-?経営戦略に携わる、亀田省吾氏(亀田クリニック院長)に伺いました。

≪今回の話し手≫
亀田クリニック院長 亀田省吾氏

「前向きにチャレンジする医師」を積極登用

-年間を通じて、どのように医師採用を進めていますか。

初期研修医・後期研修医については、毎年6月くらいから翌年の採用体制について各診療科から案を出してもらって、人件費や教育体制の状況を踏まえて受入可能かを精査し、採用計画を決定します。毎年全国公募により初期研修医22名を採用していますが、定員の3倍の応募者が集まりますし、初期研修医の専任の教育者としてアメリカの教師が常勤しています。 また後期研修医についても年間50~60名ほど採用しています。

中途の医師の採用については、力のある医師であれば積極的に採っていくスタンスをとっています。人材採用というのは機会を逃してはいけませんから、出身大学・年齢に関わらず力のある医師であれば、積極的に登用していきたいと思っています。

学閥もなく、直近3,4年で入職した医師の出身大学を見ると、国内の医学部はほぼカバーできているのではないかと思います。

-積極的に採用したい“力のある医師”とは、どんな医師でしょうか。

アグレッシブで、前向きにチャレンジしていく医師ですね。逆に、保守的で、定年までのんびりと過ごしたいという方に、当センターは居心地がよくないかもしれません。

kameda_6-医師を迎え入れる体制の面で今後注力していきたいところはありますか。

臨床や、研修医教育の面については、当センターは一定の評価を頂いていますが、研究の面で、まだまだ伸びしろがあると考えています。

医師は自然科学者ですから、研究や学位を充実させたい人も多い。そうしたニーズにも、もっと応えていきたいですね。
2012年に亀田医療大学を開学させましたから、研究への志向が強いクリエイティブな医師が活躍できるよう、サポート体制を整えていきたいですね。

質の高い研究成果を社会に向けて発信していくことは、当センターが外部から高い評価を得る上でも、大切なことだと思っています。

-現在の亀田メディカルセンターの常勤医師数は440人とのことですが、ここまでたくさんの医師が集まっている要因は何だと思いますか。

わたしが亀田総合病院に勤務し始めた1983年当時は、20人程度しか常勤医師はいませんでしたから、そのころに比べると確かに、相当増えていますね。ただ、「医師を集めるために何かをした」というより、「この地域に必要な医療を突き詰めてチャレンジを続けた結果、それに共感した医師が集まった」と言ったほうが実情には近いと思います。

鉄蕉会にはもともと、チャレンジを好む風土があります。第二次世界大戦後、わたしの父は経営者として、戦後復興という形で新たな取り組みをいくつか始めていました。千葉大学よりも早く断層撮影装置を導入しましたし、結核のサナトリウムも新たに建設しました。

亀田省吾氏が院長を務める亀田クリニックは、総床面積22000㎡、診察室約100室という大規模な外来診療施設として1995年に設立。

わたしが亀田総合病院に戻ってきてからも、脳神経外科や心臓血管外科を立ち上げたりしていますし、1985年には、民間病院としては全国で初めて、第3次救命救急施設として指定を受け、救命救急センターを開設しています。

そのほか、医師教育でいえば、1986年には厚生省(当時)から臨床研修病院としての指定を受けています。大学の医局制度に則ったストレート研修が主体だった当時、民間の市中総合病院での研修は極めて異例でしたが、質の高い臨床研修システムを構築しようとプログラムの改善に取り組み、1992年からアメリカから教育専任医師を招聘し、スーパーローテート方式の研修プログラムを行ってきました。

その後も今日に至るまで、世界初の統合型電子カルテの開発、大規模病院では初めてのISO認証取得、日本初のJCI認証取得など、その時々の目標を一つずつクリアしていく過程で、当院には医師をはじめとした多くのスタッフが集まるようになりました。

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