10連休GWの診療体制は?人件費と休日加算から考える―診療報酬請求最前線

診療報酬請求最前線


2019年は、平成が終わり新元号へと切り替わる特別な年となりますが、天皇の即位の日(5月1日)および即位礼正殿の儀の行われる日(10月22日)を、特別な休日(祝日の扱い)とすることが決まっています。特に天皇の即位の日がゴールデンウイークと重なるため、最大10連休となることは、既にご承知のことと思いますが、医療機関ではこの期間の診療体制をどのように実施するのかが課題となっています。

最大10連休になる根拠は祝日法

「特別な休日」ができたことで、本来は平日の4月30日、5月2日も休日になります。その理由は、「国民の祝日に関する法律」(祝日法)第三条第3項で、「国民の祝日」(以下、祝日)に挟まれた平日を休日にする規定があるためです。この規定に基づき、昭和の日(4月29日)と即位の日(5月1日)に挟まれた4月30日、そして即位の日(5月1日)と憲法記念日(5月3日)に挟まれた5月2日が休日になるわけです。なお、第三条2項は、日曜日に祝日が重なったら翌日の月曜日を休日とする、いわゆるハッピーマンデーを指定しています。

第三条 「国民の祝日」は、休日とする。
2 「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。
3 その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。

診療面や収益面からみた休日診療

医療機関では、この休日の取り扱いについて外来機能と入院機能の体制を分けて考えています。

外来診療であれば、診療実日数が少なくなることによる診察日集中の混乱や外来化学療法や処置(点滴)といった継続性の問題などがあります。また、地域密着の医療を展開している医療機関では、そもそも長期に外来診療を休止することは不可能であるといった場合もあるようです。

一方、入院診療においては、病棟機能は維持されているとはいえ平常時よりスタッフが少なく、継続性の求められるリハビリテーションなどでは、長期の休日体制は大きな問題となります。このように、診療を支える中央診療部門や看護師の配置などは、診療体制の方針次第で変わるため、方針決定が早ければ早いほど助かります。
しかし、収益性を考えると意思決定の難しい問題です。なぜなら診療日数が極度に少なくなることで、減収が見込まれるからです。

ただし、この休日期間を数日でも診療日として稼働させた場合には、スタッフに代休を取得させる余裕があるのか、それとも時間外の特別手当を支給して対応するのかといった経費の面で収益性が確保できないことが考えられます。往々にして医療職は、代休取得が難しい局面があり、特に医師の出勤においては、不可能といえます。したがって、フルオープンを避けて収益性の高い手術などに絞り込み、稼働日も数日だけ稼働させるといった医療機関も少なくないようです。

休日診療をどのような方針で運用に持ち込むのかは、収入と支出の相対的な検討が必要となるでしょう。

休日加算の対象にならない?

最後に、保険請求の面から押さえておきたい点について考えましょう。つまり“この期間は休日加算の対象となるのか”といった算定上の疑義です。

休日の取り扱いについては、通知で以下の見解が示されています。

休日加算の対象となる休日とは、日曜日及び国民の祝日に関する法律(祝日法)第三条に規定する休日をいう。なお、1月2日及び3日並びに12月29日、30日及び31日は休日として取扱う
※太字、括弧内は筆者

この解釈によれば、今回の休日の取り扱いに対しては、祝日法の規定する休日ということで、休日加算の算定が可能になると読めるところですが、ゴールデンウイークの一部を稼働日に設定することで、保険医療機関が休日を診療日としたことになり、休日加算を一切算定できなくなるという考え方もできるようです。このあたりは、微妙なところですので、今後の解釈を巡る議論を注視していきましょう。

※2019/2/5追記
休日加算の取り扱いについて、2019/1/30に厚労省から通知が発出されました

<編集:塚田大輔>

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