平均在院日数が連休前に短縮するシンプルな理由―診療報酬請求最前線

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急性期の病床は、ゴールデンウイークのような大型連休を迎えると休日を自宅で過ごす患者さんが多くなるなど一時的に退院が増える上に、診療機能が低下することもあって、空床が目立つようになります。医事課では、この期間にできる限り病床稼働を落とさないように秘策を練るわけですが、頼みの綱である救急搬送からの緊急入院は思ったように増えないので、病床稼働の低下は病院経営側にとって一番の心配ごとになります。

さらに、連休明けの平常時に戻った後、いかに早く病床を埋めるか、手術を稼働させるかなどにも目を向けなければなりません。しかし、どちらもうまくいかず、連休明けから1週間過ぎた頃に、本来の稼働に戻ることが往々にして見られます。

この様な大型連休を伴った際、医事統計は必ず平均在院日数に決まった現象が見られます。それは、連休の前月に平均在院日数が短く出ることです。

特に顕著に出るのが、年末年始です。12月の平均在院日数が短く、1月が長めに出ることを経験している方は多いのではないでしょうか。時に医事課では、この在院日数短縮の原因分析を求められることがありますが、なかには、病床稼働が悪い時期に在院日数まで短縮したと思い込む病院長もいます。

大型連休で平均在院日数が短くなる原因

この大型連休で退院が増える時期に、平均在院日数が短くなる原因は何か―。実は、一般的に用いられる月次の平均在院日数の計算式を見れば、明らかになります。(※入院基本料等の施設基準の計算式は直近3カ月で転棟などを考慮し計算します)

平均在院日数 = 在院患者延日数 ÷{(新入棟患者数 + 新退棟患者数)÷ 2 }

重要なのは、分子となる「在院患者延日数」の在院患者が、24時時点で病棟に在院中の患者数になること。そのため、退院した患者数は含めません。これに対し、分母には退院患者数を含めた値が入るため、極度に退院が多くなると分子は小さく、分母は大きくなり、値が小さく(平均在院日数が短く)なるのです。

医事課として、特にこの平均在院日数の計算に関して注意すべきことは、この退院患者の数のほか、施設基準上の計算式には分母と分子から除外する「短期滞在手術等入院基本料3」の算定患者や特定入院料等「平均在院日数の計算対象としない患者(別表第2)」の条件設定があります。この機会に、改めて医事統計を確認してみましょう。

【著者プロフィール】須貝和則(すがい・かずのり)
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター医事管理課長/診療情報管理室長、国際医療福祉大学院 診療情報管理学修士。1987年、財団法人癌研究会附属病院に入職後、大学病院や民間病院グループを経て現職。その間、診療情報管理士、診療情報管理士指導者などを取得。現在、日本診療情報管理士会副会長、日本診療情報管理学会理事、医師事務作業補助者コース小委員会 委員長などを務める。

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