2024年4月から始まる医師の働き方改革。施行まで1年を切りましたが、貴院では「宿日直許可」を申請されましたでしょうか。「宿日直許可」が承認されると、その時間は時間外労働として算定せずに済むため、医師の労働時間の管理上のメリットが大きく、多くの医療機関が申請を取得しようと動いています。今回は医療機関で働き方改革をご担当されている担当者119名から回答を得たアンケート(※)を基に、最新の進捗状況をお伝えします。
(※)2023年4月28日~2023年5月30日にかけて、エムスリーキャリアと取引のある医療機関を対象にエムスリーキャリアが実施
※本記事での分析内容は本アンケートにご回答いただいた医療機関のみの傾向となりますことを、あらかじめご了承いただけますと幸いです。
目次
「宿日直許可」申請が順調なのは約6割
2023年5月時点の宿日直許可申請の対応状況は、「申請して承認された」が58.0%、「申請して承認待ち」が7.6%で、約6割が申請済みという結果でした。
また、「申請書類の修正中」が5.0%、「まだ申請していない」のが24.4%と、約3割が申請の対応を進めている状況です。
「その他」の記述では、「2次救急は除いて承認された」「宿直のみ承認された」など、条件付きで承認をされたという内容が見られました。
病床数、医療機能、エリア別での傾向
病床数別(99床未満、100~199床、200~299床、300~399床、400床以上)にも申請状況を見てみましょう。
「申請して承認された」フェーズの医療機関は、各病床で5割以上を占めていることがわかりました。「まだ申請していない」フェーズの医療機関も、400床以上を除き、各病床で2割ほどあるようで、病床数による大きな差は見られませんでした。
医療機能別(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)では次の通りです。
回復期は「申請して承認された」割合が最も多く78.9%でした。また「回復期」「慢性期」では「申請する意思はない」医療機関が数件ありました。
「急性期」では、宿日直許可の取得を希望している医療機関が多いと予想される一方で、「申請して承認された」が51.6%にとどまっています。「申請して承認待ち」「労基署に相談中」の割合も他の機能に比べて多いことから、申請作業自体は着実に進んでいる様子がうかがえました。
最後にエリア別(北海道・東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄)での傾向を見ていきます。
「申請して承認された」が7割を超えているのは北海道・東北、九州・沖縄エリアでした。一方、最も少ないのは関東でした。
「まだ申請していない」の割合が最も多いのは中国・四国で37.5%、次いで近畿も33.3%でした。九州・沖縄エリアを除き、各エリアでこれから申請する段階の医療機関は2~3割ほどあることがわかりました。
「まだ申請していない」なら1~3ヶ月かかることを想定して準備を
「宿日直許可」は管轄の労働基準監督署が書類の確認や実地調査を行った上で、許可(または不許可)が決まります。そのため、日頃から労働基準監督署と情報交換をし、良好な関係性を築くことがひとつのポイントです。なお、申請から許可までの期間は少なくとも約1カ月、差し戻しなどが予想されるなら約3ヶ月は見込み、時間のゆとりを持って相談・申請を進めることが必要です。
ちなみに、弊社がご支援を行った医療機関の中には、申請がスムーズに進んだのは、宿日直対応の経過が書かれた病院日誌があったのが良かったという医療機関が複数ありました。日誌に何時に救急車が来て、誰が(医師なのか、看護師なのか)、何分対応したのかなどを記載しておくと、それがエビデンスになります。「医師の働き方改革」は2024年4月からずっと続いていくため、もし上述のような取り組みをしていない医療機関は、今からでも記録をつけてみてはいかがでしょうか。
「宿日直許可」は診療科、職種、時間帯を限定できるので、救急車を4000台受け入れている3次救急の医療機関でも一部取得できたという事例が出てきています。「宿日直許可」が取れていると必要な労働時間の確保につながるため、弊社では1時間でも良いので申請・取得いただくことをおすすめしています。
もし「宿日直許可」申請に関してお困りのことがありましたら、管轄の労働基準監督署や医療勤務環境改善支援センターにご相談いただくほか、エムスリーキャリアがサポートを行うこともできます。また「宿日直許可」申請取得後は、1人の医師につき、宿直業務は週1回、日直業務は月1回が限度となるため、人材の確保も重要になります。エムスリーキャリアであれば人材紹介・採用支援などとも合わせてご支援ができますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。
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