2026年度診療報酬改定の先読み(第一回)~診療報酬改定の基本認識

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はじめに

診療報酬改定の骨格にあたる部分は「基本方針」として初めに示されます。この基本方針は、改定に当たっての「基本認識」と今回改定の具体的な方向性を示すための「基本的視点」で構成されます。改定の具体的な内容を知るうえで、今回の改定が何を重要課題としているか、見直しの方向性はどこにあるのかといった全体を押さえておくことはとても大切です(編集部注:本記事は2025年10月12日時点で公開されている情報をもとに執筆されています)。

基本認識

改定に当たっての基本方針の概要に記載される項目(ポイント)は、医療機関を取り巻く急激な社会的変化への対応と超高齢化社会の医療の在り方を示しています。

日本経済が新たなステージに移行しつつある中での物価・賃金の上昇、人口構造の変化(図1)や人口減少の中での人材確保、現役世代の負担の抑制努力の必要性2040年頃を見据えた、全ての地域・世代の患者が適切に医療を受けることが可能かつ、医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制の構築

また、医療DX・ICTの積極的に活用し、高度な医療を効率的に提供することで安心・安全な医療を実現するという方向性により、安定性と持続性が保たれた社会保障制度を実現することを目指しています。

医療の高度化や医療DX、イノベーションの推進等による、安心・安全で質の高い医療の実現社会保障制度の安定性・持続可能性の確保、経済・財政との調和
統計局:統計からみた我が国の高齢者
厚生労働省:85歳以上人口の推移

基本的視点

物価高騰・賃金上昇のへの対応は前回改定で設置されたベースアップ評価料及び看護職員処遇改善評価料といった職種を限定しての評価から、全体的に評価軸を代えての入院基本料や入院基本料加算といった評価への切り替えが行われるかが今回注目となります。

一方、2040年頃の医療・介護の複合的ニースを有する85歳以上人口の増加に伴う医療体制の課題は、医療機関の役割分担を明確にし、地域関係型の医療提供体制へと大胆に施策が投入され、特に高齢者医療の増加に対応するための「治す医療」と「治し支える医療」を担う医療機関の線引きが施され、診療報酬点数上での役割分担が図られると思われます。また、人口の減少とともに医療の支え手が減少する問題については、医療技術の進歩と高度化にそって医療DXに期待が寄せられる方向へと舵が切られることになり、デジタル技術でイノベーションを起こし、そこに診療報酬の手厚い評価が投入されることになると思います。

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