タスクシフト・シエア、医師の7割が「業務負担軽減に効果あり」

2024年4月に施行された「医師の働き方改革」。医師の労働時間削減の方法のひとつとして注目されているのが、医師から他職種へのタスクシフト・シェアです。実際に現場で働いている医師は、自院のタスクシフト・シエアについてどのような印象をもっているのか調査しました。

タスクシフトイメージ画像

医師の7割がタスクシフト・シェアは「効果がある」、一方で実際の導入は3割程度か

「タスクシフト・シェアは、医師の労働時間削減に効果があると思いますか」という質問をm3.com医師会員(n=2749人)に尋ねたところ、「効果がある」「どちらかと言えば効果がある」の回答が73%と、肯定的な意見が多勢でした。一方で、「勤務先でタスクシフト・シェアは進んでいると感じますか」という質問に対して「はい」と答えた割合は27%に留まりました。タスクシフト・シエアに一定の期待を寄せているにもかかわらず、自院での導入状況について不十分だと感じている医師が多いと言えそうです。

【医師のコメント】

やろうとすれば医師は全ての業務をできてしまうが、病院としてもっとタスクシフトを推し進めるべき

なかなか進んでいない。「これが医師の仕事?」と思うことが未だに多い

まだまだ不十分、他職種にできるものは任せたい

タスクシフト・シェアの障壁は「スタッフとの合意形成」か

タスクシフト・シェアが進まない要因について、医師はどのように受け止めているのでしょうか。障壁になっている項目について質問したところ、「スタッフとの合意形成が難しい」に最も票が集まりました。そのほか、「タスクシフト・シェア先の教育・研修体制を整備できない」「スタッフを採用できない」「医師の合意形成が難しい」「予算の確保が困難」などさまざまな要因が横並びになっています。

【医師のコメント】
■スタッフとの合意形成が難しい

公務員のコメディカルは現状に満足しており、一定の役割しか果たそうとしない。患者の治療に必要なことは医師がやらされる。コメディカルはタスクシフトされたくないのだろう

「何かあったときに責任を負えない」という主張で看護師からの協力がまったく得られない

スタッフからすると仕事が増えるだけなので反対するのは真っ当。問題はそれをどう納得させるか


■教育・研修体制を整備できない

多職種の教育をしっかりしないと、結果的に二度手間になる。そして教育には時間が必要である

他のスタッフが出来ることはたくさんあると思うが、看護師を含めた教育が難しい。医師がやっていた仕事を自分の仕事を増やす形でやりたくないと思っているスタッフが多い。


■スタッフを採用できない

人材確保が困難。すぐにやめてしまったり配置換えになったり。

待遇を良くしないと有能な人材を確保できない。


■医師の合計形成が難しい

タスクシフトすることで、これまで若い医師が行っていた業務をできなくなる。例えば注射とか。できなくなっても良いのかもしれませんが。

タスクシフトは医師の考え方と足並みがそろえば、一気に加速すると思っています。


■予算の確保が困難

他職種は給料が上がらないのに仕事が増えると感じているようだ。給料を現状のままタスクシフトは無理だろう。

結局、人件費がネックになります。

まとめ

タスクシフト・シエアに労働時間削減の期待を感じている医師が多い一方で、現場での導入にはさまざまな障壁を感じていることがわかりました。「現状でも忙しいのに、新しいタスクを追加することは不可能なのではないか」「タスクを追加するなら人も増やすべきだけど、その予算を確保できないのはないか」など、こういった指摘はもっともです。
しかしながら、医師のタスクシフト・シエアが進んだ結果、医師が診察・治療に専念できるようになれば、病院の収益性は向上します。労働時間削減という視点だけでなく、専門性を生かした業務割当による収益性強化という点で考えることも大切でしょう。
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