医師の36協定見直し、「対応済み」はわずか1割─働き方改革調査vol.3

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2024年4月に向け、国は医師の働き方改革を推し進めようとしています。具体的には、法定労働時間を医師にも適用し、これを超える場合はいわゆる36協定の締結と、さらに時間外労働の上限規制が求められることになります。しかし、実際の労務管理の実態はどのようなものなのでしょうか。編集部では、m3.com会員を対象に働き方改革に関するアンケートを実施。医師1213名の回答から、理想と現実の大きなギャップが見えてきました。

目次

勤務時間の把握はいまだ半分近くが未実施

勤務先で実施している労務管理の取り組みとしては、「タイムカード・ICカードなどによる勤務時間の客観的な把握」が52%で1位となりました(図1)。労働安全衛生法の改正に伴い、2019年4月より「労働時間の客観的な把握」が義務化されているにもかかわらず、いまだ半数近くの医療機関で勤務時間の把握が進んでいない現状からは、医師の働き方改革を進めることの難しさが伺えます。

図1

また、医療機関の経営層が注意しておきたいのが、医師雇用契約書です。雇用契約書の内容によっては、2024年以降、これまで支払っていた給与に加えて残業代を支払う必要が発生します。雇用契約書の内容と、労働実態・就業規則の整合性などをふまえて、契約書の内容見直し・再締結を行うことも検討した方がいいでしょう。

勤務医の先生も、残業代が適切に支払われているかチェックし、自身の権利を守るために雇用契約書の内容を改めて確認することをお勧めします。

続いて、施設形態別の傾向(図2)を見てみましょう。

図2

多くの項目で、クリニックよりも病院、特に大規模病院での実施割合が高くなっています。

一方で、「長時間労働者に対する医師の面接指導の実施」「医師雇用契約書の再締結」といった項目では、老健・介護医療などの施設での実施割合が高く、施設形態によって導入が進んでいるものとそうでないもの差が顕著に表れていると言えそうです。

しかし、36協定の点検・見直しについてはどの施設形態でもあまり進んでいないようです。もう少し具体的な取り組み状況を見てみましょう。

36協定の締結内容、把握していますか?

図3

図3を見ると、既に対応済み・対応中・今後対応予定・検討中が約3割となっている一方で、対応の予定がなく検討もしていないという医療機関が約2割を占めています。

前述したように、国は2024年度以降、医師に対しても時間外労働の上限規制適用を目指しています。法定労働時間の「1日8時間・週40時間以内」「1週1日または4週4休の休日」を超える場合は36協定の締結が必須であり、届け出なく時間外労働をさせることは違法(罰則あり)となります。

また、時間外労働も特別な事情がなければ「45時間/月・360時間/年」を超えることはできません。超える場合は、特別条項の締結が必要となります。このほか、時間外労働・休日労働を行う業務区分の細分化、範囲の明確化が必要です。経営層もメンバー層も、ご勤務先での見直し状況を必ずチェックしておきましょう。

なお、時間外労働の上限は多くの施設で960時間/年(≒20時間/週)となっており、これを守れないと労務管理違反となってしまいます。この上限には、非常勤などいわゆるアルバイトの時間も含まれます。さらに、このような勤務時間の監督は管理監督者を除く管理職についても義務化されています。役職付きであれば適用外、ということはありませんので、こちらも注意した方がよいでしょう。

【調査概要】
医師の働き方改革に関するアンケート調査:2020年11月18日~26日、m3.com医師会員を対象に実施。

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