病院の命運を握るのは看護部長―武久洋三に聞く、地域包括ケア病棟

この記事は約2分25秒で読めます

地域包括ケア病棟の導入後、施設基準を満たし続けることに難しさを感じ始めている病院も出てきているといいます。地域包括ケア病棟協会顧問であり、平成医療福祉グループの代表として実際に病棟転換を進めている武久洋三氏に、導入のポイントを聞きました。

《今回インタビューにご協力いただいた方》
日本慢性期医療協会 会長
地域包括ケア病棟協会 顧問
平成医療福祉グループ代表/平成博愛会理事長  武久洋三氏

看護部長の能力が病院を左右する

―地域包括ケア病棟が新設されて1年が経とうとしています。導入した病院が抱えている課題はありますか。



クリックすると拡大します。

武久氏
導入した多くの病院が、地域包括ケア病棟入院料1の施設基準にある「在宅復帰率70%」、「60日以内の在宅復帰」をどう維持するか、悩んでいるようです。

これらの施設基準で注意すべきは、地域包括ケア病棟から他の病棟に移しても、基本的に「在宅復帰」=右図参照=にはならないということです。さらに、在院日数60日を超えてしまった入院患者の診療報酬は算定できません。

―そうした在宅復帰に関する課題を、どうすれば解決できるのでしょうか。

患者をどの病棟へ入院させるか、外来受診の段階で的確に判断しておくことが重要です。地域包括ケア病棟には、急性肺炎や脱水などのように退院まで2か月もかからないだろうと思える患者だけ入院してもらうわけです。

そのためには、外来受付で患者がどの病棟に入院すべきかを振るい分ける人材が必要になります。そして、この人材に求められるのは、(1)医療的な洞察力(2)素早い決断と行動ができる判断力(3)決定権―の3点です。これらを兼ね備えているのは、看護部長しかいません。看護部長が多忙であれば、秘書を用意してでも、この振り分けをやってもらう価値があります。今後は看護部長の能力差が、病院の能力差となって出てくると言っても過言ではありません。

―地域包括ケア病棟を生かすも殺すも入口での判断次第ということですね。それだけの重責を担える看護部長は、平成医療福祉グループに多くいらっしゃるのでしょうか。

武久氏
正直、まだまだ少ないです。わたしや他のスタッフがいるからこそ回っているといった状況でしょうか。優秀な看護部長の原石を見つけ出して、育て上げなければならないと感じています。優秀な看護師は前述の3条件を備えていれば、急性期出身か慢性期出身かといったバックグラウンドは関係ないと考えています。わたしが顧問を務める地域包括ケア病棟協会でも、優秀な看護部長とその候補が不可欠だという問題意識から、看護実践講座などのセミナーを開催しています。

入院後1か月以内に転棟・転院の判断を

―すべての患者を的確に振るい分けるのは難しいということですね。

武久氏
その通りです。もちろん、患者が外来受付時の判断通りに経過をたどるとは限らないため、入院後1か月以内に「退院までさらに数か月かかりそうかどうか」を判断する必要があります。もしも数か月、あるいはそれ以上かかりそうなら、転棟や転院をしていただく。重症ほど早く送り出すのです。そうすれば、「60日以内の在宅復帰」とともに、「在宅復帰率70%以上」もクリアできるでしょう。

【お詫びと訂正】本文2段落目に「入院患者が1人でも在院日数60日を超えてしまうと診療報酬を算定できません。」と記載しておりましたが、正しくは「在院日数60日を超えてしまった入院患者の診療報酬は算定できません。」でした。お詫びするとともに、ここに訂正させていただきます。

関連記事

コメント

コメントをお待ちしております

HTMLタグはご利用いただけません。

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ログイン