医師数ワースト2位の茨城県で試みる、“攻め”の医師採用とは─つくばセントラル病院 久松辰男総務課長

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看板診療科の部長の退職をきっかけに、医師体制の強化を急いでいた社会医療法人若竹会 つくばセントラル病院(313床、茨城県)。人口10万人当たりの医師数が全国ワースト2位の医師少数県ということもあり、茨城県で働くつもりのなかった医師にもアプローチしたところ、オファーから1か月以内で採用に成功。魅力度ランキング最下位でもある同県で、他エリア希望の求職者を振り向かせた採用手法や交渉術とは?総務課長の久松辰男氏に、取り組みの全容を聞きました。

目次

社会医療法人若竹会が運営するつくばセントラル病院

医局派遣が減る中、訪れた危機

──これまでの医師採用の経緯について教えてください。

当院はもともと救急医療を核として成長を遂げてきた急性期病院でしたが、医療ニーズの変化を踏まえ、現在ではケアミックス病院として急性期~回復期まで多様な病床機能を備えています。最新鋭の放射線治療装置サイバーナイフや、尿路結石の治療法として県内で初めてESWL(体外衝撃波結石破砕治療)を導入するなど、時代に合わせて地域の医療ニーズに応えてきました。

その一方で、医師体制は大学医局からの派遣に依存する状態が続き、“医局崩壊”が進むとともに常勤医の確保が徐々に難しくなってきました。また、最近はピンポイントで「この診療科の先生がいたらいいな」という場面が増えてきたので、2~3年前くらいから紹介会社を活用して医師体制の強化に取り組むようになりました。当院の事務長が個人的に医師のスカウトをしているので、事務長経由で先生にお声をかけることもありますね。

ウェブ取材に応じる久松総務課長

──急いで医師を採用しなければならないご事情があると伺いました。

今年3月の、腎臓内科部長のご退職がきっかけです。その先生から学ぶために当院を選んだ若手医師もいましたから、離職される先生も出てきました。人工透析は当院の収益の柱であり、人工透析のベッド約80床を備える腎センターは当院の中核的存在です。さらなる離職を防ぎ、経営を維持していくためには医師体制の強化が急務でした。

当初は非常勤の先生でカバーしていましたが、非常勤の先生を増やしすぎてしまうと労務管理が難しくなります。「なんとか早期に入職いただける常勤の先生を採用しなければ……」と頭を抱えていたときに、ほしい先生にオファーできるサービスがあると聞き、1名でもご縁がつながれば、と「M3Careerプライム」(以下、プライム)を導入。運よく、導入から2か月で1名の先生を採用することができました。

他エリアを希望する医師の“口説き方”

──医師にオファーを出されてから10日間で面接、1カ月以内に内定受諾と、スピーディーに採用が進んだそうですね。

プライムでは転職活動中の先生の情報が毎週配信されます(※)。その中にちょうどほしい診療科で、しかも転職をお急ぎの先生を見つけオファーを出したところ、スピード採用を実現できました。採用は出会いのタイミングも重要だと思いますが、通常、紹介会社経由での採用は紹介をひたすら待つことしかできません。ライバル施設が多い中で、能動的に先生との出会いをつくりだせるのは、プライムならではの利点だと思います。
※求職者の同意が得られた情報を配信しています

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──今回ご入職される先生は、もともと東京や神奈川などでのご勤務を希望されていたそうですね。

はい。求職者情報を見たときに希望勤務地に茨城県は入っていなかったのですが、「転居可」となっていたので、提示条件などによっては検討していただけるかもしれない、と考えオファーしました。

──希望勤務地にとらわれずに、候補になりそうな先生にはオファーを出されていたのですね。提示条件はどのように工夫されたのでしょうか。

引っ越し費用の全額支給や家賃支給に加え、住宅の手配も先生と相談しながら対応しました。なるべく先生の負担にならないよう、お手伝いできることはこちらでやるというスタンスでしたね。ただ、前述のようなインセンティブは最初から「全額支給します」と伝えていたわけではありません。面接後に、徐々により手厚い条件を提示していきました。

──最初から好条件を提示した方が、求職者の関心を引けそうな気がしますが……。

個人的な経験則ですが、求職者の先生が他施設と迷っているときは、徐々に条件を積み増していくと、よいお返事をいただけることが多い印象です。最初から全力のオファーを出すと、競合施設にそれ以上の条件を提示されてしまうことがあるので……。先生がある程度当院に関心を持ってくれていて、当院としても「ぜひ来ていただきたい」という場合に、ここぞというタイミングでよりよい条件をお伝えすると印象が違うと思います。年収などは大幅な変更が難しいですが、家賃も全額支給となれば金額にして年間100~200万円に上りますから。

──病院の印象をよくするために、コミュニケーションにも気を配っているのですね。

お断りの理由として多いのが、「茨城県に行きたくない」なんですよね。「家族の意向で東京から動きたくない」「通勤時間が長すぎて厳しい」といったお返事をいただくことも少なくありません。立地は変えられませんが、一人でも振り向いてくれる先生があらわれれば、と条件の内容や伝え方には心を砕いています。

つくばセントラル病院がある、茨城県牛久市

一方で、筑波大学や進学校などがあるつくば市のすぐ近くに位置しているため、お子さんがいらっしゃる先生だと教育環境に魅力を感じてくださることも。先生のご希望や状況にあわせて、どうPRするか考えています。

プライムでは転職理由や働き方の希望などが、求職者のプロフィールに記載されています。そういう情報も参考にしてオファー内容を作成し、コミュニケーションを取っています。

自院の条件に合う、求職中の医師のプロフィールや転職理由を見てみる

医師採用は「採用したら終わり」ではない

──他に、医師採用において意識していることがあれば教えてください。

診療スキルなどは医師同士の方がよくわかると思うので、私は面接時に先生の雰囲気から「当院に合いそうかどうか」「長く勤めていただけそうかどうか」をみています。これは感覚的なもので、言語化が難しいのですが……。

医師採用は「採用できたら終わり」ではありません。せっかくご入職いただけても、早期退職となってしまっては採用にかけた時間・コストが無駄になってしまいますし、先生にとってももったいないですよね。なるべく長くご活躍いただきたいという思いから、気軽に事務部門に相談できるような環境づくりは意識しています。たとえば、ご入職後のフォローとして、しばらくは私や事務長が毎日会いに行き、「どうですか?」「不安なことはありませんか?」などとお声掛けしています。愚直なやり方かもしれませんが、私が採用を担当して当院にご入職された先生のうち、紹介会社経由の方も含めて、退職されたのはおひとりだけ。総務課として、採用後のスムーズな定着にも寄与できたらと考えています。

──久松さんは行政とのやり取りや施設基準管理、臨床研修医の調整といったつくばセントラル病院での業務のほかに、慢性期病院の事務長も担っていると伺いました。ご多忙な中で、候補者のチェックやオファー作成などの作業は負担ではありませんでしたか。

既にオファーをきっかけに成果が生まれていますし、一人でも多くの先生と出会うためには、必要な時間として割り切っています。作業時間を捻出するために、担当業務の棚卸しをして、なるべく部下に仕事を割り振るようにしています。

とはいえ、院長の「医師採用のギアをもう3段くらい上げたい」という意向もあり、2020年7月からは専任担当者が採用業務を代行してくれるプライム「フルサポートプラン」に切り替えることにしました。フルサポートプランでは、全国の紹介会社に当院の求人が優先提案されるよう働きかけてもらえると聞いています。2020年度中にあと3名は先生を採用したいですね。プライムがその活路となるよう、期待しています。

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