成長したい事務職は、“他流試合”から学べ!?オンライン事務長ケース検討会とは

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医療機関の生き残りを左右する病院事務職。病院経営に大きな影響を与える存在にも関わらず、教育機会が豊富とは言えないのが現状です。人材不足が叫ばれる中、「事務長としての作法を学べるコミュニティをつくりたい」という思いから、あるオンライン勉強会が生まれました。参加者の半数近くが現役の事務長あるいは事務長経験者です。他院のベテラン事務長からトラブルシューティングを学ぶことができるという、その内容とは?主宰者の3名に、実施の意図や活用方法を聞きました。

目次

次世代を育てたい事務長と、キャリアアップしたい事務職員をつなぐ勉強会

─ケース検討会開催のきっかけを教えてください。

加藤:きっかけはSNSでしたね。杉山さんと池田さんとはfacebookでつながっているのですが、ある日杉山さんがケーススタディー(※)の本を読んでプレゼンしている投稿がアップされていたんです。

杉山:院内勉強会の様子ですね。

池田:「ぜひ院外でもやってください」と投稿にコメントしたら加藤さんからも「ぜひやりましょうよ」という声があがって(笑)

※具体的な事例の分析を通して、学習者が起こりうる課題を疑似体験しながら、当事者の立場から最善策を導き出す学習方法。ビジネススクールをはじめ、経営や医療、教育などさまざまな分野で用いられている。

─「ベテラン事務長に学ぶ」と銘打っているのが印象的です。どのような狙いの会なのでしょうか。

池田:個人的には、次世代の育成につながればという思いがあります。「事務長職は人材不足」と言われますが、病院事務管理職を15年以上務める中で、そもそも事務長になるための教育システムがないのが問題だと感じています。もちろん研修プログラムなどはありますが、アカデミック色がやや強い印象です。もう少し実践的に、リアルに事務長を仮体験できるような勉強会を作りたいと思っていました。

実際の勉強会の様子。web会議ツールzoomを使ってオンラインで開催

加藤:私も事務長としてのトラブルシューティング術を身に付ける場があればいいのに、とずっと思っていたので、この勉強会は念願でした。
私は病院経営のコンサルタントから事務長に転身した経験があります。そのとき、前職の経験を全く活かすことができなかった。事務長の行動によって、トラブルが大きくなることもあれば小さくなることもある。それだけ影響力があるのに、小規模な病院だと意思決定にほとんど関わってこなかった人が急に事務長になったりしますよね。マーケティングや会計といった知識とは別に、事務長としての作法を学べるコミュニティを作りたかったんです。実際に、勉強会のグループに登録してくださってる方が約50名なのですが、だいたい4~5割が現役事務長、あるいは事務長経験者です。

杉山:私は事務長経験がないので、勉強会のお誘いをいただいて自分にとってもいい成長の機会になるんじゃないかと思ったんです。当院の院長が経営学に精通していて、接していると自分の勉強不足を痛感する場面が多々あって。そんな中で勉強会のお誘いをいただいたので、まだまだ成長しなければ、という気持ちで参加させてもらっています。

オンラインで全国の事務長・事務職がつながる

─経験を伝えたい事務長と、ロールモデルから学びたい事務職員をつなぐ場になっているんですね。ケーススタディーをオンラインでどのように実現しているのでしょうか。

加藤:テーマについて4~5名でグループディスカッションした後、全体共有という流れをとっています。Web会議ツールのzoomでは参加者をグループ分割できるので、少人数でディスカッションしたり、全員で集まって共有したりを切り替えられるんです。以前、多職種交流会でこの機能を使っているのを見ておもしろいなと。

病院事務職向けの勉強会やワーキンググループはまだあまりオンライン化されていないので、せっかくなら新しいことに挑戦したいと思って取り入れました。コロナ禍でも自宅から気軽に参加できますし、全国各地からアクセスできるのもオンラインのメリットですね。

グループディスカッションの様子

池田:始める前は「オンラインでうまくいくのか」という不安もありましたが、実際に使ってみるとやはり便利ですよね。実際に東北や九州など様々な地域から参加してもらえていますし。

加藤:参加者からは「遠い地域の方がいると、自院の内情や悩みなどを相談しやすい」という声もあがっています。近隣の医療機関の方には相談しにくい院内のトラブルや経営課題について率直に話せると。これもオンライン開催の副産物と言えるかもしれません。

杉山:コロナ禍の影響で、病院事務職の世界でも勉強会や研修の新しい形が生まれつつあると感じますね。

─ケースを拝見しましたが、非常にコンパクトですね。

加藤:皆さんお忙しいですから、参加しやすいようケースはシンプルで短くしています。勉強会の冒頭でケースを読んで考える時間を設けているので、なにかを準備する必要はありません。実体験から考え、共有し、学ぶことがこの勉強会の目的なので、あえてケース内でも情報をそぎ落として、ご自身の環境や立場に置きかえて考えていただければと思っています。

事務長としての作法を、他流試合から学んでほしい

─これまで2回のケース検討会を終えて、いかがですか。

杉山:ベテラン事務長の考えや取り組みを聞くことができて、毎回勉強になっています。管理職になると、意思決定を迫られる場面が日常的にあると思います。でも、自分が経験してないことについて判断するのは難しい。勉強会では他院の様々な事例を聞けるので、「そういえば勉強会でこう言っていた人がいたな」と判断材料を増やすことができます。

個人的には、他院の事務長の方とつながれるのが魅力と感じています。コロナの影響もあって病院経営はますます厳しくなっているので、何かあったときに質問や相談ができるような関係性を持てるのは心強いです。

加藤:実際に、勉強会メンバーのグループの中では情報交換もさかんですよね。先日もコロナ対応に関連して、医療従事者向けの慰労金についての質問がfacebookにあがっていて、色んな回答が寄せられていました。そういう、「他の医療機関はどうしてるんだろう?」という疑問を投げかける場としても活用してもらいたいです。

池田:他院の取り組みは参考になりますし、「やっぱり同じような考え方をしているんだな」と安心することもありますよね。あと、みなさんの話を聞いて事務長はそれぞれ独自の哲学を持っていると感じました。トラブルに対しても、それぞれの信念に基づいた多様なアプローチがある。1つの正解を探すというより、「そういうやり方があるんだ」と異なる流儀の事務長から新しい視点を得ることができる、いわば他流試合から学べるのがいいなと思っています。

杉山:そうですね。私は新卒で今の病院に入職して、ずっと医事課にいます。業務の中で他部署や他の医療機関と関わる機会が少なかったので、これまでも意識的に外部の勉強会に参加していました。ジョブローテーションのない医療機関が多い中で、視野を広げたいと考えている事務職員の方々にこの勉強会を活用してもらいたいですね。

池田:私の場合は外部から学ぶことが難しかったので、別の病院に転職したり、自分で起業したりしながらマネジメントを学んできました。でもこのやり方はリスクが大きいですから、こういう勉強会はとてもいい機会だと思うんです。

実際に私の部下で、病院幹部として育てたいと考えている職員にも参加してもらっています。私のやり方を教えて私色に染めるより、いろんな事務長さんから学ぶ方が、視野が広がるかなと。勉強会に参加することで勝手に育ってくれるんじゃないかという期待もあります(笑)。

─参加者を絶賛募集中とのことですが、どんな方に参加してもらいたいですか。

加藤:「病院事務長ケース検討会」という名前ですが、事務長に限らず、管理職層に幅広くご参加いただければと思っています。杉山さん・池田さんの言うように、事務長から学びたい方はもちろん、ネットワークをつくりたい方も歓迎です。

また、自分の経験から感じていることですが、事務長は不安や不満を相談できる相手が少ない。孤独を感じている事務長の方々に、ガス抜きの場として参加していただければとも思っています。

杉山:現役の事務長はもちろん、長年経営に携わっていて、今はご退職されているという方にもご意見を聞いてみたいですね。

池田:私は若手にどんどん参加してほしいです。これまでの“当たり前”を覆すような、新しい風を病院事務職界に吹き込んでいってほしいなと。私は20代のときでも70代の事務長にかみつくような生意気な事務職員だったのですが(笑)、なかなか自分の職場でそれをするのは難しいと思うので、他院の事務長に「なんでできないんですか!」と率直な思いをぶつけたり、質問したりしてくれると嬉しいです。

加藤:今後はゲストを招いてのウェビナーや、リアルでのケース検討会も予定しています。毎回参加できなくても大丈夫なので、ぜひのぞいてみてください。

病院事務長ケース検討会概要と、今後の開催予定

【事務長ケース検討会】

  • 開催頻度:月1回(基本的にはオンラインでの開催)
  • 参加費:無料
  • 申込方法: facebookグループに参加し、申し込む。
  • facebookグループ:参加申請が必要。グループのページはこちら
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