ヒーロー型リーダーシップの限界とは?―後編―医師への選択、医師の選択【第36回】

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著者:野末睦(あい太田クリニック院長)

 
前半に続き、わたしがヒーロー型リーダーシップに対して感じたことを綴った投書を、徳洲会グループ機関紙「徳洲新聞」から引用したいと思います。

「自分には弟を亡くしたようなつらい経験は全然ないし、いつも幸せだった。自分の頭はとってもいいと思うけど、そうだとすると成功しないのかも。単身赴任なので、せめて週末くらいは家族とゆっくり過ごしたい。でも徳洲会でがんばるには、こういう考えを押し殺してがんばらなければいけないのだろうか?」表面上は前向きな院長を演じつつも、こころはさ迷い歩いて、いつのころからかいわゆるメンター(精神的な点で導いてくれる人)を探しまくる状態になっていました。周囲には徳田理事長をメンターとして飛躍していく人がたくさんいましたが、理性的にはそうしたいと願いつつも、潜在意識ではどうしてもそれができなかったのです。

そんなわたしが少しずつ変わることとなった運命的な出会いがありました。それは庄内空港でわたしに話しかけてきてくれた泉椿魚(いずみちんぎょ)さんとの出会いです。先祖代々医師の家系に生まれた方ですが、現在は漂泊の人となって、福岡から2年ごとに住居を北に移し、ちょうど庄内の羽黒に移り住んできていた時にわたしに話しかけたのです。そして彼はわたしに名刺を渡すときに、なにやら一生懸命選んでいました。彼の名刺の裏には一枚一枚違う言葉が彼の直筆で書いてあり、その中からわたしにふさわしいものをわたしの表情などを子細に観察しながら渡してくれたのです。そこには独特の墨字で「人生無師 独悟のこころ大事」とありました。飛行機の中でその言葉をじっと見つめ、わたしは溢れる涙を抑えることができませんでした。徳田理事長をメンターとすることができない葛藤におびえ、かといってほかにいくら探してもこの人についていきたいという人が現れるわけでもなく、魂がさまよっている感じがしていたわたしに、とても大事な真理を教えてくれたのです。「徳田理事長との違いはそのままでいい。それを受け入れていこう。」それ以来、わたしは内面的に少しずつ変わっていきました。今は「師はわたし自身である」と感じています。そして今わたしが感じていることをいくつかの言葉で表すと「豊かさは世界に溢れている。そしてわたしが自分自身の能力を最大限に発揮することが自分のためそして他者のためになる。わたしは創造するために生まれてきたのであって、競争するために生まれてきたのではない。思考し、感謝の心を持って行動することが大事。

「これから求められるリーダーシップの形とは何でしょうか?」への私的結論

ヒーロー型リーダーシップは、ともすれば破滅への道を進みかねません。自分自身でよく考えて、そして、周囲の人の意見を取り入れ、やる気を引き出していくのが、これからのリーダーシップです。

≫次回に続きます≪

野末睦(のずえ・むつみ)

初期研修医が優先すべきこと2―医師への選択、医師の選択(野末睦)筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。

 

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