【地域連携室編】地域包括ケア病棟導入ドキュメント 特徴がない病院を、何でも相談できる病院に変える―医療法人社団愛生会 昭和病院

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地域包括ケア病棟の対外折衝の要となる地域連携室。昭和病院で地域連携・医療相談室長を務める千葉紗希氏は、地域における同院の立ち位置を客観的にとらえ、地域包括ケア病棟の導入を機に、地域住民や近隣の医療機関が抱いていたイメージを塗り替えることに成功しました。今回は同院の存在意義の変化や、導入時の具体的な取り組みについて聞きました。

医療法人社団愛生会 昭和病院

岩手県一関市に位置する、全54床の中小病院。事務部、地域連携室、看護部門の連携により、2016年12月から2017年7月にかけて、一般病床30床を地域包括ケア病床に転換した。

「特徴がない病院」という弱点を強みに

医療法人社団愛生会 昭和病院―一関市という地域の医療ニーズを踏まえ、地域包括ケア病棟導入前の同院の置かれた状況をどうとらえていましたか。

一関市は3世代、4世代という大家族が多く、80歳が100歳を介護するような老老介護が珍しくありません。また老夫婦だけの世帯も多く、地域の介護力はそれほど高くないという課題を抱えています。

昭和病院は、その一関市の西地区に位置しますが、西地区は機能訓練ができる施設やサービスが少なく、もう少し訓練すれば改善が見込めるのに、それが叶わずに生活障害が出てしまう人が多い地域でもあります。そんな中、当院は10年以上にわたって救急を中心に経営改善を進めてきたため、そうした地域の機能訓練のニーズまでは応えられていませんでした。時には「あと1週間入院できれば…」という思いもありましたが、54床すべてが一般病床のため、患者さんの万全な社会復帰までは手が回り切らなかったのです。加えて、病院経営という意味では、院長一人で救急を受け入れる状況では、持続可能性という点での危機感もありました。

そのような昭和病院を地域から見ると「何でもできる」反面、「何をやっているかわからない特徴のない病院」という評価があり、患者さんにとっても連携機関にとっても、どこか中途半端な存在として映っていました。そこでわたしは、地域包括ケア病棟への転換にあたり、そんな「何をしているかわからない」という弱点を逆手に取って、当院の強みとして売りだそうと考えたのです。

隙間を狙うニッチ戦略の宣伝活動

地域連携室―地域連携室では、地域包括ケア病棟をどのようにアピールしたのでしょうか。

もともと地域とのパイプが少なかったので、対外的な売り込みや宣伝活動は積極的に行いました。チラシを作り、集患のポイントとなるケアマネジャーや周囲の医療機関と関係をつくり、近隣の開業医、県立病院にもごあいさつに行きました。
県立病院は一関市の最後の砦として、最も満床にさせてはいけないので、その「ベッドコントロールをバックアップします」というスタンスで、地域包括ケア病棟は疾病の制限がないことやレスパイト入院ができることなどをアピールしました。中には「こんな患者を送り出したら失礼かも」という心配から紹介を遠慮しているところもあったので、「遠慮しないで、どんどん紹介してください」と話を進めていきました。結果的に「とりあえず相談できる病院」として、他の医療機関の隙間を埋める“ニッチ産業”としての戦略を採ったわけです。とにかくフットワークを軽くして、「ここに来れば何とかなる」という強みを、こちらからどんどん出向いてアピールしました。

―千葉さんは社会福祉士の資格をお持ちですが、その視点から、導入後の変化について教えてください。

社会福祉士の立場からすれば、病院も1つの社会資源。地域社会の中で、使える選択肢の1つとして「いいように活用してくれればいい」と思っています。そうした宣伝効果が功を奏したのか、地域包括ケア病棟への転換で、病院の可能性が大きく拡がったと思います。当院の院長は日頃から地域医療がやりたいと口にしていたので、転換後は院長の思い描く病院像にも近づけたと思います。

地域包括ケア病棟の特徴は、早期の在宅復帰を目指しながらも、中間評価やリハビリはしっかり行ったうえで自宅に帰れるということ。院内では退院支援看護師や事務職員とベッドコントロールチームを作っているので対応も早く、もしご家族に介護の不安があれば、社会福祉士として適切な他の機関につなぐこともできます。目標がはっきりしている分、患者さんはもちろん職員一人ひとりが同じ方向を向いて頑張れるようになったと思います。

「困ったらとりあえず相談しよう」と言われる病院を目指して

社会福祉士 ソーシャルワーカー―あらためて地域包括ケア病棟への転換で、病院や患者さんには、どのようなメリットが生まれたと思いますか。

「何をしているのかわからない病院」から、地域の中での立ち位置がはっきりとしたこと。これが最大のメリットだったのではないでしょうか。「とりあえず相談できる病院」として、この地域の医療ニーズの隙間を埋める存在になれたと思います。昨今では、市内の東地区からの問い合わせも来るようになりました。「弱み」を「強み」にするにあたって、院長先生は「どんな患者さんでも、まずは受け入れましょう」と後押ししてくださり、事務部や看護部も迅速に動いてくれたので、地域連携室としては大変動きやすかったことも幸いでした。

―最後に、今後の展望を教えてください。

わたし自身、この地域で生まれ育ったので、一関市に愛着を感じています。昭和病院が地域での生活を手助けする病院として「何か困ったら、とりあえず相談しよう」と言われる存在になれたら、今回の地域包括ケア病棟の導入は成功なのだろうと思います。これからもいざという時に相談できる病院を目指していきたいと思います。

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