【看護部門編】地域包括ケア病棟導入ドキュメント 看護師の不安が、病院運営の確信へと変わるまで―医療法人社団愛生会 昭和病院

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地域包括ケア病棟の導入において、避けて通れないのが院内調整です。中でも看護部門は、患者と向き合う病棟の最前線。看護師一人ひとりの理解をどれだけ得られるかが、導入前後の明暗を分けると言っても過言ではありません。今回は、病院と患者の橋渡し役を担う看護部門で退院支援看護師を務める阿部玉実氏に、6カ月間に及んだ地域包括ケア病棟への病床転換プロジェクトの現場の苦労と、その後の変化について聞きました。

医療法人社団愛生会 昭和病院

岩手県一関市に位置する、全54床の中小病院。事務部、地域連携室、看護部門の連携により、2016年12月から2017年7月にかけて、一般病床30床を地域包括ケア病床に転換した。

看護部門へ周知徹底する役回り、それでも不安はあった

地域包括ケア病棟 看護師―地域包括ケア病棟導入プロジェクトに参加する前の、率直な気持ちをお聞かせください。

病床転換が決まったときは「病院は一体どうなってしまうのか」「自分にできるのか」と、正直言って不安ばかりでした。同じように、周りの看護師たちからは、「入院患者の患者層が変わって、手のかかる患者さんが増えるのではないか」「自分たちの業務が変わるのではないか」といった戸惑いや不安の声があがっていたように思います。
その一方で、一般病棟ではどうしても21日の平均在院日数を気にして退院を急ぐことがあったので、地域包括ケア病棟に転換すれば、診療報酬を上げながら、ゆとりある看護ができるのではないかという期待もありました。

―看護部門の理解を得るために、一番力を入れて取り組んだことは何ですか。

看護部門への周知徹底です。地域包括ケア病棟に関する説明会を何度も開催し、当日休みの人には個別に説明をしました。最初は病床の仕組み自体、なかなか理解できない人もいましたが、理解の深まりと同時にコミュニケーションが活発になり、短期間で新たなルールづくりも行いました。例えば、地域包括ケア病棟の入院日数は60日と規定されていますが、「治療目的が達成されればフルで入院する必要はない」ということや「一般病棟から地域包括ケア病棟へは転床できるが、その逆はできない」といった、運用上の細かなルールも一つひとつ確認していきました。それでも実際にやってみるまでは「本当に増収するのか」「業務は大変にならないのか」などの不安は残りました。

辞めたい人はゼロ。むしろ「仕事がしやすくなった」との声も

―そのような不安は、いつ解消されましたか。

導入から1カ月後くらいだったと思いますが、事務部から導入前と導入後の比較ができる、細かな数字のシミュレーションデータが示されました。わたしの実感値では仕事のやり方はそんなに変わっていないのに、確かに報酬が良くなっていて、やっと「うまくいった。これでやれる」と一安心できました。

―阿部さんの仕事に大きな変化はなかったようですが、病棟看護師の仕事内容はどうでしたか。

厳密に言うと、一般病棟と地域包括ケア病棟の患者層は違うので、看護師の配置を病棟ごとに固定することにしました。やはり看護師の仕事の進め方は患者層に応じて変わるものなので、現場からは「かえってやりやすくなった」という声が聞かれました。
入退院や転床の時期は、事前に計画を立てられるので調整しやすくなりましたし、患者さんやご家族からの不満の声もなく、上々のスタートが切れたと思います。患者さんが一般病棟から地域包括ケア病棟へ転床する時も、「お部屋の調整で移ります」と話すだけで、嫌がられることはありませんでした。強いて言えば、夜勤帯は病棟別の固定配置ができず、業務が少し大変になっているようなので今後改善していきたいと思います。

ライフプラン 医療 介護―仕事内容が大きく変わらない中で、感じる変化はありますか。

わたしは退院支援看護師として毎日カルテを確認し、患者さんの状況把握と素早い判断を心がけていますが、以前よりも事務部や地域連携室との情報交換が良好になり、転床やベッドコントロール、退院支援などがスムーズになったのは大きな変化だと思います。
あと、個人的には、患者さんやそのご家族とのコミュニケーションが増えたことで、自分が本当に地域医療を支えている一員なのだという自覚が持てるようになりました。

今思うと、地域包括ケア病棟の導入で一番大変だったのは、実はプロジェクトそのもののプレッシャーだったのかなと感じています。短期間の中で、他の病院を見学したり、ヒアリングをさせてもらったり、さらにそれをまとめて看護部門に伝えたり、日々「本当にできるのだろうか」という不安を感じたり。今となっては、そんな不安はなくなりましたし、職場を「やめたい」と言う看護師も出ていないのでほっとしています。

地域と一体になって、医療・介護を支えたい

―今後、新たに目指す目標はありますか。

これからは、自宅で介護をしているご家族や地域で働く介護士さんの負担軽減に寄与できるよう、病院として地域社会の中でやれることに、もっと積極的に取り組んでいければと思っています。地域包括ケア病棟の特徴である「レスパイト入院」は、今はショートステイが取れない時などの限られた条件内で受け入れていますが、介護者と患者さんの共倒れを防ぐためにも、地域の他施設と役割分担していければと考えています。

地域包括ケア病棟の運用が始まってから、病院のモットーである「地域密着」が以前より実現できていると思うので、次は院内から院外へ視野を広げ、地域の中での存在感をもっと高めていきたいですね。

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2025年までに、10万床が療養病棟から消えると言われています。
・他院で退院調整できない患者様の受け皿にしかなっていない
・医療区分のコントロールが限界にきている
上記のような運営に陥っているならば、今が最後のチャンスです。

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