【第10回】コロナに負けるな!「事務長の責任力」でピンチを切り開こう―事務長の悩みは、99%解決できる

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野々下みどり(ののした・みどり)

株式会社LHEメディカルコンサルティング代表取締役。熊本大学法学部を卒業後、約20年間にわたり医療法人社団シマダ 嶋田病院に勤続。その間、医事課長、診療情報管理課長、情報システム課長、診療支援部長、企画広報部長を歴任。2018年、医療福祉の経営コンサルタントとして起業し、現職。医療経営・管理学修士(九州大学大学院医学系学府)、診療情報管理士指導者の資格を持つほか、日本診療情報管理士会評議員などを務める。
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通常であれば、この時期は、診療報酬の改定セミナー等で賑わっている頃です。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で軒並み中止となっており、それぞれで対応策に追われていることでしょう。最近、次年度に向けて金融機関等と融資の話をされていたり、診療報酬改定や新型コロナウイルス対策に追われていたりしている、という話をよく耳にします。病院の未来は、事務長の肩にかかっていますから、日々、大変な責任を背負って職務を果たされていることでしょう。

今回は、この「責任」についてお話ししたいと思っています。

「責任」について、答えられますか

「責任」とは何でしょう。想像してみてください。
私はドラマのワンシーンで「一体どうしてくれるんだ。君の責任だぞ!」と怒鳴られている場面が思い浮かびます。皆さんはどうでしょうか。「責任とは何ですか」と尋ねられて、きちんと答えることができますか。ご自身の中に、責任の定義がありますか。


数年前、仕事に対する考え方が行き詰まっていて、何でもいいので異なる分野のエッセンスを自分に取り入れたくなりました。そこで「時間の管理術」というセミナーに参加して、講師の先生に教えてもらったのが、この「責任」について。当時の私は「責任とは何か」と問われた時に、きちんと答えることができませんでしたし、その言葉に、重く、苦しいイメージを持っていました。

「『責められることを任される』と書くので、辛いイメージがありませんか。責任という言葉にはいくつか意味がありますが、その1つに英語でResponsibilityがあり、ResponseプラスAbilityでつまり、対応(反応)する能力のことを指すのです」と講師の先生は仰っていました。
それから肩の力が抜け、しなやかな考え方に変わったのです。


今、コップの水がテーブルにこぼれました。皆さんは、どうされますか。水がこぼれたこと、テーブルが濡れたことを責められる役割でしょうか。
リーダーであるあなたは、まず最善の行動を取りますよね。

まず、拭く物を持ってきて、濡れたテーブルをすぐに拭くよう指示するでしょう。必要であれば新しく水が入ったコップを準備し、他に濡れたものがあれば乾かしたり、お客様がいればお詫びをしたりするかもしれません。それから、なぜこぼれたのか状況を分析して、対応策を講じるでしょう。ただ、それぞれに対応していくだけなのです。

患者が減少したという事実があった時に、「このまま患者が増えなかったらどうしよう。クビかな、減給かな、リストラかな。規模縮小かな」とつい、多くの人が考えこんでしまいがちです。

ピンチを切り開く、事務長の責任力

その講師は「大人には自分を幸せにする責任」があるのですよ、とも教えてくれました。
幸せな状態は一番いいパフォーマンスを発揮できる状態ですから、病院のためにも、事務長には幸せな状態でいてもらわなければなりません。

私はかつて、他人にうまく心を開けず、学校以外で話す友達をなかなか作れない子どもでした。学校、仕事、共通の場所であれば付き合いがあっても、そこを離れてまで話せる友人は、あまりいませんでした。大人になると親しい友人ができないといった言説がありますが、私は大人になった今の方が、仕事を離れても、違う職種であっても、頼り、甘えて、時には意見をくれたり支えてくれたりする友人がいて、とても助けられています。大人になってから、私を幸せにしてくれる友人を得ることができました。
読んでくださっている事務長にもそういう人はいるかと思いますが、もしもいなくても、友人を得るのに早いも遅いもありませんし、このコラムがひとときの安らぎになり、エールになればうれしいです。

見えない敵に悩むより、まずはできることを!

「このまましばらく、新型コロナウイルスが続いたらどうしよう──」

先が見えないことは不安です。私も、そうです。考えて悩んで事態が解決するなら、いくらでもそうします。でも、そうではありません。
その時々に、できることをやればいいだけなのです。うまくいかないかもしれない場合の想定や予測をし、その時はこうすればいい、というシミュレーションをある程度やったら、その後は、一切心配や恐れる気持ちを手放すように、私はしています。その時できることをやればいいのだと。大丈夫、その時の最善策を取ればいい、対応すればいいのだと。

前回のコラムの結びに「今度大学生のイベントにアドバイザーとして参加する予定で楽しみ」と書いていたのですが、新型コロナウイルスのため延期となってしまいました。この1ヶ月の間に事態はさらに深刻化し、日本国内でも小中学校等の休校をはじめ、各種イベントや大会の中止にテーマパークの休園、商業施設の営業時間短縮等、枚挙にいとまがありません。感染は世界各国へ広まり、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックも延期が決まりそうです。

世の中が見えないウイルスに怯え、経済も気持ちも落ち込んでいることはもちろんですが、社会全体がギスギスして疑心暗鬼になっているようで悲しく感じています。電車で咳をして、トラブルになるなんて……。この時期は花粉症もあり、「咳やくしゃみをうかつにできない」「人のいる場所に行けない」という声も。卒業式への参加を自ら断念した保護者もいることを知り、心を痛めています。

世の中で何か起こった際に、病院勤務時代は院内の、それも目に見える部分への影響しか知ることができませんでした。さまざまな業界の方と接する機会を得ている今は、ある1つの出来事が多方面に影響を及ぼすことを知り、日本経済、世界経済、さまざまなところでつながっているのだな、と今更ながら実感しています。卒業式の中止一つを取っても、カメラマン、花屋さん、飲食店など……。
この状況を嘆かず、自分ができることをただひたすらやるだけ、ですね。まだまだ油断できない状況ですので、今一度、気を引き締めているところです。

次回のコラムは、希望に満ちた新年度にお送りします。
【読者の皆さまからのご質問をお預かりしています】
連載で取り上げるテーマの他にも、みなさんの「今」のお悩みについてもいっしょに考えていきたいと思っています。「事務長の~」というタイトルではございますが、お役職問わず、お気軽にお問い合わせください。ご質問はコチラから。

<編集:平石果菜子>

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