2026年度診療報酬改定のよみかた ~入院診療計画書の改定事項

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1.はじめに(概要)

入院診療計画書は、診療報酬上の入院基本料の通則に定められた条件であり、すべての入院患者を対象に入院日から7日以内に必ず作成する書類として厳格に取り扱われてきました。一方で医療法では、短い期間の入院となるケースや患者への不利益が想定されるような時には、入院診療計画書の交付及び適切な説明を要しないという例外条件が設けられています。

今回の改定では、こうした法令との間の解釈の違いや文書交付の省略等に配慮した見直しが行われています。

<医療法>
第六条の四 病院又は診療所の管理者は、(省略)しなければならない。ただし、患者が短期間で退院することが見込まれる場合その他の厚生労働省令で定める場合は、この限りではない。
<医療法施行規則>
第一条の六 法第六条の四第一項に規定する厚生労働省令で定める場合は、次に掲げる場合とする
一 患者が短期間で退院することが見込まれる場合
二 当該書面を交付することにより、当該患者の適切な診療に支障を及ぼすおそれがある場合
三 当該書面を交付することにより、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせるおそれがある場合

2.改定の内容

入院診療計画書の作成は、入院料等通則8に明示された算定要件であり、当該条件を満たす場合に限り入院基本料等の所定点数が算定できることになっています。言い換えると、適切に作成できなければ不正請求と見なされる可能性があり、慎重に取り組む必要があります。令和8年度の改定では、次のような趣旨の方針を示しています。

  • 入院前の外来で文書提供及び説明を行った場合も入院後7日以内と同様の取り扱いとすること
  • 入院期間2日以内で支障が無い場合は、入院期間及び説明内容と説明日時を診療録に記載することで文書交付を省略できること
  • 説明日・説明者の診療録への記載は必須であるものの、文書への署名がある場合は省略できること。

入院診療計画書の基準(施設基準)

1 入院診療計画の基準
(1) 当該保険医療機関において、入院診療計画が策定され、説明が行われていること。
(2) 入院の際に、医師、看護師、その他必要に応じ関係職種が共同して総合的な診療計画を策定し、患者に対し、別添6の別紙2又は別紙2の3を参考として、文書により病名、症状、治療計画、検査内容及び日程、手術内容及び日程、推定される入院期間等について、入院後7日以内に説明を行うこと。ただし、高齢者医療確保法の規定による療養の給付を提供する場合の療養病棟における入院診療計画については、別添6の別紙2の2を参考にすること。なお、当該様式にかかわらず、入院中から退院後の生活がイメージできるような内容であり、年月日、経過、達成目標、日ごとの治療、処置、検査、活動・安静度、リハビリ、食事、清潔、排泄、特別な栄養管理の必要性の有無、教育・指導(栄養・服薬)・説明、退院後の治療計画、退院後の療養上の留意点が電子カルテなどに組み込まれ、これらを活用し、患者に対し、文書により説明が行われている場合には、各保険医療機関が使用している様式で差し支えない。
(3) 入院診療計画について、入院前に外来で文書を提供し、説明した場合も、入院後7日以内に行ったものと同様の取扱いとする。また、入院期間が2日以内であると見込まれる場合又は3日以上の入院が見込まれていたものの入院期間が2日以内となった場合であって、診療や退院後の治療や生活に支障がないと認められる患者に対して入院診療に関する必要な説明を行った場合は、総合的な入院診療計画の策定並びに患者への文書を用いた説明及び交付は行わなくても差し支えない。この場合は、診療録に入院期間(見込みを含む。)、患者への入院診療に関する説明の内容及び説明を行った日時等を記載すること。
(4) 入院時に治療上の必要性から患者に対し、病名について情報提供し難い場合にあっては、可能な範囲において情報提供を行い、その旨を診療録に記載すること。
(5) 医師の病名等の説明に対して理解できないと認められる患者(例えば小児、意識障害患者)については、その家族等に対して行ってもよい。
(6) 説明に用いた文書は、患者(説明に対して理解できないと認められる患者についてはその家族等)に交付するとともに、その写しを診療録に添付するとともに、説明日及び説明者を診療録に記載すること。なお、医師や患者等の署名は不要であるが、医師の署名がある場合は、説明日及び説明者を診療録に記載する必要はない。
(7) 入院期間が通算される再入院の場合であっても、患者の病態により当初作成した入院診療計画書に変更等が必要な場合には、新たな入院診療計画書を作成し、説明を行う必要があること。

入院診療計画書の改定事項のよみかた

まず、疑義解釈が出ているので確認してみましょう。

今回の入院診療計画書の改定の重要な点は、これまで行ってきた文書作成にかかる署名などの負担を軽減し、効率的な運用に改めることにあります。

この疑義解釈は、施設基準に新たに設けられた「説明に用いた文書を患者(家族)に交付し説明日及び説明者を診療録に記載しなければならないこと」に対し、電子カルテへの電磁的方法(スキャン取り込み)によって代替できるのかを問うものです。これに対し、可能である(そのとおり)と回答しています。また、施設基準には「医師や患者等の署名は不要であるが、医師の署名がある場合は、説明日及び説明者を診療録に記載する必要はない」と記載されており、言い換えれば書面上に医師の署名があれば説明日及び説明者の診療録への記載は不要であり、逆に署名が無ければ診療録への記載が必要となります。実際、施設基準の見本の書式には、これまであった主治医氏名の「印」欄が消え、同時に「本人・家族」記載欄も無くなりました。

一方、入院期間が2日以内となる予定入院や結果として2日以内に退院した緊急入院のような短期入院については、前置き(診療や退院後の治療や生活に支障が無いこと)をした上で書面の交付は行わなくても差し支えないという言い方で省略可能としています。しかし、こちらのケースでは、入院期間、患者への入院診療に関する説明の内容、説明を行った日時等を記載するとしています。注目すべきなのは、説明日とせずに「説明を行った日時等」としている点で、ここに慎重さを感じます。実務上は、記載漏れが発生することが想定されるので、書面交付の省略に踏み切れないのが現実ではないかと思います。新たな体制を整備し、診療録への説明日(日時)及び説明者の記載漏れを点検する体制づくりなどを考えると早急には踏み切れない医療機関は少なくないのではないかと感じます。

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