昨今、医師の給与に外来対応患者数や手術件数などに応じたインセンティブをつけることによって、モチベーションを高めようとする医療機関が増えてきています。一方こうした出来高制の給与体系が、過剰医療につながるのではないかなどの意見も。今回、病院経営事例集編集部では、「現在給与に出来高制が導入されているかどうか」、「自分の診療科に出来高制を導入すべきと思うか」をm3.com会員の医師2238人に聞きました。
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インセンティブが支給されている医師は、内科系・外科系とも約1割
今回の調査で、出来高制が給与に導入されていると答えたのは、全体の10.1%=下図参照=。
内科系・外科系で大きな差は見られませんでしたが、内科系では小児科が18.8%、外科系では産婦人科が24.3%と、高い割合に。これらの科目では、外来対応患者数や分娩数などでインセンティブを設けることが多いようです。
Q1 現在の給与には出来高制が導入されていますか。
調査方法:m3.com会員の医師にWEBアンケートを実施
回答期間:2015年5月23日―27日
回答:2238人(内訳:内科系1159人、外科系850人、その他229人*)
*なお、今回の調査における分類は以下の通り。
内科系:内科、内分泌内科、消化器内科、循環器内科、腎臓内科、呼吸器内科、神経内科、小児科、精神科
外科系:外科、消化器外科、心臓血管外科、呼吸器外科、泌尿器科、整形外科、形成外科、脳神経外科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、産婦人科、救急科
その他:病理科、放射線科、麻酔科
およそ半数がインセンティブ導入に肯定的―賛成派は外科系医師に多く
今回はこのほか、「自身の診療科目に出来高制を導入すべきと思うかどうか」も調査しました=下図参照=。
Q2 ご自身の診療科目において給与の出来高制を導入すべきだと思いますか。
その結果、全体の48.5%が出来高制を「導入すべき」または「どちらかと言えば導入すべき」と回答。こうした賛成派のコメントでは、「働く医者と働かない医者が同じ給料ではやってられない」(40代、産婦人科)、「モチベーションの一つになると考えるから」(30代、整形外科)などの声が挙がりました。
一方、「導入すべきではない」または「どちらかと言えば導入すべきではない」と答えたのは、21.5%でした。こうした反対派からは、「患者数などで出来高制を導入されると1人に時間がかかる患者を避ける傾向が出るのではないか?」(50代、耳鼻咽喉科)、「利益を念頭におきながらの診療は、臨床現場の各場面において(手術適応等)判断を歪める可能性が大きいと考える」(30代、形成外科)などのコメントが寄せられました。
科目別に回答の内訳をみると、特に外科系では56.7%と過半数が出来高制賛成派で、特に救急科(66.7%)、整形外科(62.2%)、産婦人科(59.8%)、一般外科(57.8%)が高い結果に。一方、内科系における賛成派の割合は43.3%と、外科系に比べれば低いものの、反対派(25.3%)を大きく上回る結果となりました。
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