CCRCを取り入れるには~広島県東広島市を事例に~

広島国際大学 医療経営学部
学生番号 513-039 氏名 髙橋 佳代
指導教員 田村 潤准教授

キーワード:高齢者住宅 空き家 東広島市

研究の目的

高齢者に対する若者の比率は、年々減り始め2050年には若者がほぼ1対1の割合で高齢者を支えなければいけない時代となる。そこで近い将来に人口が減り始め高齢化率も高くなる広島県東広島市がこれからの高齢化に向けどのような対策をしているのか興味を抱き、CCRC(高齢者の共同住宅)を取り入れることはできないかと考えた。本研究ではCCRCがどのようなものかを明らかにし、発祥である米国や北欧の例を挙げる。そして、東広島市の人口や介護問題など現状を述べ、導入する際の課題を明らかにすることを研究目的とする。

研究の方法

研究方法は、厚生労働省のホームページの国勢調査から人口推移や介護状況を調べ、東広島市の現状と今後の推移を調べていく。先行研究より、米国・北欧の例も挙げる。

結果

高齢者に対する若者の比率は、年々減り始め2050年には若者がほぼ1対1の割合で高齢者を支えなければいけない時代となる。そこで近い将来に人口が減り始め高齢化率も高くなる広島県東広島市がこれからの高齢化に向けどのような対策をしているのか興味を抱き、CCRC(高齢者の共同住宅)を取り入れることはできないかと考えた。本文ではCCRCがどのようなものかを明らかにし、発祥である米国や北欧の例を挙げる。そして、東広島市の人口や介護問題など現状を述べ導入する際の課題を明らかにすることを目的とする。

以下、厚生労働省のホームページの国勢調査から人口推移や介護状況を調べ、東広島市の現状と今後の推移を調べていく。先行研究より、米国・北欧の例も挙げる。

日本の合計特殊出生率は1947年の第1次ベビーブーム(4.32)をピークに年々減少傾向にある。第2次ベビーブーム(2.14)で回復はしたものの2005年に1.26と過去最低を記録し、2013年には少し増加し1.39となったがその後はあまり増加していない。1947年の第1次ベビーブームは「団塊の世代」、1971年の第2次ベビーブームは「団塊ジュニアの世代」と呼ばれており、2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、団塊ジュニア世代も60歳近くとなる。少子高齢化が進み人口減少も起こっている。そこで医療、年金、福祉、介護、生活保護など社会保障費の増大などの問題が起こってくる。日本の国民医療費は2008年度には34.8兆円だが、2025年度には52.3兆円になると推計されている。現在の社会保障費の財源は勤労者世代が払う税金や年金保険料で賄われている。1965年には65歳以上1人に対して20~64歳は9.1人の胴上げ型だったのに対し、少子高齢化によって2012年には65歳以上1人に対して20~64歳は2.4人の騎馬戦型になっている。さらに2050年には65歳以上1人に対して20~64歳は1.2人の肩車型となり1人当たりの負担額が多くなる。また、要支援・要介護認定者数も増え、介護サービスを利用する高齢者も増える。核家族化の進展に伴い、平均世帯人員数は減少の一途を辿り、介護者がいない高齢者は「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「ケアハウス」「特別養護老人ホーム」などの高齢者住宅を利用する場合が増える。

海外のCCRCによれば、米国でのCCRC の歴史は古く、19 世紀以前にさかのぼる。家や資産を寄付した高齢者に対して、教会や友愛結社が見返りとしてケアを提供したのがCCRC の起源であるとされる。国民皆保険制度でない米国は65歳以上の高齢者を対象とした制度で、アメリカ政府による公的な医療保険制度があり医療負担を一部カバーしている。1つはMedicareと呼ばれるもので65 歳以上の高齢者または障害者を対象とする医療保険制度である。もう1つはMedicaidと呼ばれ、低所得者を対象とする救済制度である。一般的に米国の高齢者向け地域医療機関は介護度の軽いものから順にIndependent Living(IL)、Assisted Living(AL)、Nursing Home(NH)、Memory Support(MS)の4 種類、およびそれらを集約したContinuing Care Retirement Community(CCRC)に区分される(タイプA)。2つ目は、住居、生活周りのサービスに加えて、ある一定部分までの医療ケアを含んでいるものである。これは、日数ベースなどで一定部分までのケアについては、居住者が追加負担なく、サービスを享受できるものの、それを超えた場合には、実費での支払が求められるものである(タイプB)。3 つ目は、基本契約の中では、住居、生活周りのサービスのみを提供することとしており、医療サービス等は必要なときに、実費負担をすれば、確実にサービスが受けられるというものである。これは、CCRC 側にとって、一方的にコスト増加のリスクを抱え込むことにならず、サービスを受ける側も、健康であるうちは、低額のコストで居住できるというメリットがある(タイプC)。
1991 年のAAHSA(米国高齢者ホーム・サービス協会)の調査では、入居形態のタイプA
で入居時の初期コスト平均が41,462 ドル(約500 万円)、タイプB で27,850 ドル(約330 万円)、タイプC で22,306 ドル(約270 万円)となっている。しかしある調査によれば、CCRCが利用可能な高齢者は約50%、また別の調査では、75 歳以上の高齢者の15~25%は気軽に利用可能との報告もある。このように、米国のCCRCはサービスが非常に充実していることの裏返しとして、コスト面では、誰でも気楽に利用できるというものではなく、主に裕福な層の高齢者を対象とした施設と言える。スウェーデンの高齢者介護サービスの改革は、1970 年前後からのサービス・ハウジング(servicehus)の建設であった。そのころスウェーデンは、選別主義的福祉の時代から普遍主義的福祉の時代へと移行していたが、サービス・ハウジングは従来の収容施設的老人ホームのイメージを一変させる住宅・施設である。1 人1 室以上でキッチンと浴室が付き、家賃を払って入居する。ケアサービスや警報装置も付いているが所得が低い人でも入れて、基礎年金しか収入のない人の家賃は住宅手当で大部分が賄われる。しかし、サービス・ハウジングの建設は1980 年代後半から中止された。1970 年代には従来型の老人ホームは建設中止になり、1980 年代後半にはサービス・ハウジングの新設も原則中止になった。代わってコミューンレベル(日本における県や市などの小さな都市)で、小型の地方ナーシング・ホームが作られるようになり、これとサービス・ハウジングの複合型が多く見られるようになった。イギリスでは1988 年のグリフィス(Griffiths)報告と、1989 年の政府白書「Caring for People」の報告の方向に沿って作られた「NHS とコミュニティ・ケア法」以降、利用者の選択の自由・自立の重視という消費者志向の方針とコミュニティにおける在宅ケアの方針に基づく政策が進められてきている。東広島市は広島県の中心部に位置し、2010 年現在の人口は190,135 人と年々増えており、高齢化率は広島県で一番低い市であるが、2035 年からは人口減少と高齢化率が上がる。

米国などのCCRC を取り入れるとすると、すでに戸建ての住居を所有している人が多く、これから他の家に移り住むことは難しいと考える。しかし戸建ての住居を所有している人が多い一方で空き家の数も多くあることから空き家を改装し移り住んでもらい、今の家を子供たちに譲るのはどうかと考えた。市内での移住のため市民の負担は少なく、東広島市としても高齢化率は上がらず社会保障費が増えることもない。空き家改装を行う際、新しく町を作ることも考え病院や店などを中心にし、そこから放射線状に円を作るように家や畑などを配置するのがよいと考える。空き家が多いところは少し町中から外れていて、田畑が多い。すると田畑で少しでも体を動かすことができる。これにより、政府の日本版CCRC 構想がめざす「高齢者は健康な段階から入居し、できる限り健康長寿を目指すことを基本とする」ということが達成できると考える。また、地域の仕事や社会活動、生涯学習などの活動に積極的に参加する「主体的な存在」や地元住民などの多世代と交流・共働する「オープン型」の居住という項目も達成することができると考える。

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