日本慢性期医療協会会長・武久洋三氏が率いる平成医療福祉グループ。経営不振や承継困難などの理由で自力経営できなくなった病院を多く引き受ける同グループでは、関西を中心に約70の病院や介護施設などを運営しています。
病院を継承して立て直す過程では、経営方針の転換による大量退職を防ぐ一方で、「病院のこれから」を担う医師の採用を進めなければならない場合も。病院再建と並行する医師採用をどのように進めているのか。同グループの武久代表と、岡秀幸事業部長に聞きました。
≪今回 インタビューにご協力いただいた方々≫
平成医療福祉グループ代表/平成博愛会理事長 武久洋三氏
平成医療福祉グループ事業部長 岡秀幸氏
高齢化で、ますます増すグループの役割
-平成医療福祉グループが規模を拡大してきた背景には何があるのでしょうか。
武久代表
規模拡大といっても、自力経営が難しくなった病院の引き取りを頼まれたケースが大部分を占めます。赤字体質で経営が立ち行かなくなったり、跡取りがいなくて継承不能だったりする病院を、経営者や銀行、その他各所から「引き受けてほしい」と頼まれた結果の規模拡大です。
現在、当グループには約20病院のほか、介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、デイケアといった介護施設・事業所や看護学校など約50か所が所属しています。他の医療グループに比べ、慢性期やリハビリを中心とした病院・施設の構成になっている点が特徴です。
今後の日本は、激増する高齢患者が安心して暮らせるように、医療・介護の接合点となる慢性期医療の充実と、在宅復帰を促す良質なリハビリテーションの実践が必要になるでしょう。こうした状況の中で、当グループの役割は大きくなっていくと考えています。
継承時の課題となる専門職の確保
継承した病院の経営を軌道に乗せるためには、多くの課題が存在します。医師をはじめ、専門職の確保はその一つです。経営方針の転換によって既存スタッフが大量退職しないように最大限の努力はしますが、それでも一定数の退職を見越して、採用体制を整える必要があります。
-貴グループでは、どんな体制で採用に当たっているのでしょうか。
以前はわたし自身が面接したりしていたのですが、今はグループの役員や各病院に、合否判断を含めた一連の採用業務を任せています。彼らにわたしが伝えているのは、「しっかりと患者と会話できる医師かどうかを見極めて欲しい」ということです。シンプルですが、この見極めはなかなか難しい。転職理由や、こちらの意図を汲んで質問に答えられるかなど、面接時のやり取りで総合的に判断するしかありません。その結果、残念ながら採用に至らない場合もありますが、良質な医療を提供するために、やむを得ないことだと思っています。
-実際に医師採用は順調に進んでいますか。
最近では、平成横浜病院を2013年12月に継承し、その後の半年間で、常勤5名・非常勤5名の医師採用にまで至りました。半年間でこの成果を実現したのは、事務長の貢献によるところが大きいと考えています。
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