夏はお休み中の子どもたちやお見舞いのご家族など、来院者の顔ぶれも変化する季節かと思います。しかし、混雑すればするほど、医療現場の課題に挙げられるのが「待ち時間の長さ」。どの医療機関でも短くする策を考えていると思いますが、わたしの場合は、ハードとソフトの2つの側面を意識して待ち時間の短縮を試みました。
ハード:並ばなくても済む仕組みを考える
わたしの経験上、列が長くなるとクレームにつながりやすかったので、並ばなくて済むような患者さんの導線を考え、椅子や自動精算機の配置場所を変えました。たとえば椅子であれば2つつながっていたものを切り離して通路を増やしたり、思い切って並べ方を変えて、より多くの椅子を置けるよう工夫したりしました。
また、窓口の混雑具合は曜日や時間帯によって変わるので、受付用と会計用に切り替えられるパソコンを用意。午前は受付3台・会計3台の体制、昼過ぎから受付2台・会計4台体制にするなど、臨機応変に対応できるようにしました。
こうした改善は割と短期間で成果が分かるので、どうしたら患者さんにとって過ごしやすく、事務員にとって効率的になるかを考え、試行錯誤するのも良いかもしれません。
ソフト:マンパワーを効果的に配分する
待ち時間ができるとき、その原因としてマンパワーの総量が足りない可能性もありますが、もう一つの可能性として、マンパワーが効果的に配分されていないのではないかと考えるべきでしょう。
たとえば前述の受付・会計の窓口切り替えは、混雑する時間帯に合わせてマンパワーの配分を変えているわけです。そして、これを実行するのに必要なのが、どんな仕事にも取り組めるマルチプレイヤーです。もちろん、そのようなマルチプレイヤーの育成には多少の時間は掛かります。しかし、リーダーを務めた当時を振り返ると、より多くの人がマルチに活用できるよう支援・教育していくことが、患者さんの満足度向上につながると感じました。
あわせて、ロビー全体の患者さん一人ひとりに気配りする“接遇力”を高めることも大切だと感じます。特に、混雑しているときは患者さんへ積極的にお声掛けすることで、クレームの数がぐっと下がります。そのためにはフリーで動ける事務員を配置したり、総合窓口の人にも協力してもらったりしていました。ロビーにしばらくいる方を見つけたら、「お会計をお待ちですか」と話しかけるだけで、“気にかけてもらえている”と安心する患者さんは多いようです。
ハード面は整備できても、その場を活用できる職員がいなければ根本的な解決にはなりません。日々の意識付けが大切なのだと思います。
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