院内に理念を浸透させ、高まる地域ニーズに応じられる体制をつくる-イムス富士見総合病院【前編】

6市1町にまたがる医療圏における急性期の基幹病院として、急成長を遂げているイムス富士見総合病院(埼玉県富士見市)。再開発が進んでいることもあり、出生率も高く人口増加傾向にあるこの地域に同院が新築移転したのは2009年。2012年には2次救急を開始したほか、2015年には現在の221床からさらに120床の増床も予定しています。
地域でより大きな役割を果たせるよう、同院では鈴木義隆院長と安藤保事務長が、急ピッチで体制整備を進めています。これから目指す方向性や、採用のポイントについて伺いました。

≪今回 インタビューにご協力いただいた方々≫
院長 鈴木義隆氏
事務長 安藤保氏

高まる地域からのニーズ 「医師に選ばれる環境づくりを」

 鈴木院長

鈴木義隆院長2015年に120床の増床を予定している当院ですが、地域のこれからを考えると、将来的にさらなる増床も視野に入れるべきだとも考えています。

富士見市は、交通網が整備されてきていますし、2015年春から巨大なショッピングセンターも開業予定です。周囲の医療機関を見まわしても、当院から北に10キロほど行けば埼玉医科大学総合医療センター、南に10キロで埼玉病院、西に10キロ行けば防衛医科大学校病院があり、当院はちょうど中間地点に位置しています。地域連携のかなめとしての役割が、当院には求められています。

今後の規模拡大を踏まえると、医師採用のことは頭から離れないと言っても過言ではありません。可能なら、全国行脚して医師を集めたいくらいですが、院長として今わたしがすべきなのは、この病院に「医師に選んでもらえるような体制」を整えることだと思っています。

病院沿革当院のスタッフがプライドを持って働けるように、何が必要なのか-。一般的に、研修医が集まるような人気病院というのは、大学病院やハイボリュームセンターである国立の有名な病院や大規模病院ですよね。医局からの医師派遣を受けるにしても、専門性を発揮できる環境でなければ、教授も手塩にかけた医師を送りたくないと思います。やはり、設備はできる限り最先端のものを揃えて行きたいですね。

医師の世界は狭いですから、スキルが高く、人柄の良い医師がプライドを持って働いてくれたら、その評判は人づてに他の医師にも伝わります。すると、より多くの医師に選んでもらえるようになるはずです。そうした好循環が生まれればと思っています。

-貴院はIMS(板橋中央総合病院)グループに所属していますが、経営判断に際しては、IMSグループ本部と各病院の間でどんなやりとりがなされるのでしょうか。

鈴木院長

各病院の独立採算制で裁量重視の運用をしているため、グループ本部からは、厚生労働省の方向性や診療報酬改定を踏まえた上での戦略面での助言をもらうことはあるものの、基本的な経営判断は、各病院の院長や事務長に委ねられています。

-人材採用の面で、グループ病院としての強みを感じることはありますか。

鈴木院長

スケールメリットを活かして、急性期から回復期、慢性期まで幅広い働き方を提案することができますから、そうした点は強みですね。一方で、IMSグループ自体の知名度、ブランド力という点では、まだまだ伸びしろがあるようにも感じます。

理念の浸透を意識

-急速に規模拡大する中で、何か気をつけていることはありますか。病院の歴史

鈴木院長

重要な判断を伴う場面ではいつも、当院の理念を確認するようにしています。

当院の理念は、「安全で最適な医療を提供し、愛し愛される病院として社会に貢献する」です。日常的な会議の場でも、職員に「うちの理念を覚えていますか?」と問い掛けてみたり、何か新しい挑戦をするときにも、「これは安全か、最適か、社会貢献しているか」と、理念の整合性を説明したりするようにしています。

医師の採用においても、この理念はお伝えしています。実際に入職した後にも意識して頂きたいことですし、同じ方向性に向かって頑張ろうと決心して下さった医師に対しては、病棟をあてがったり、医療機器の購入を検討したり、必要な投資を積極的にしていきたいと思っています。我々がやりたい急性期医療に共感してくださるのであれば、全力で頑張っていただけるような体制を整えたいと思っています。

医師に「何をしてほしいか」をきちんと伝える

-面接では医師のどんなところを見ていますか。

鈴木義隆院長2鈴木院長
年齢やスキル以上に気にしているのは、コメディカルに優しくしてくれるかどうかです。これは、面接開始1、2分の雰囲気で、何となくわかることが多いですね。「コメディカルを大切にして、周囲に悪い影響を及ぼすような言動だけはやめてください」と伝えると、目が泳ぐ医師も時にはいます。残念ながらそういう方は採用できません。

面接ではこのほか、「その医師に何ができて、何ができないか」をはっきりさせます。その上で、当院の理念に照らし合わせた上で、その医師に何をして欲しいのかを伝えるようにしています。「何ができないか」を聞くことが失礼に当たるという意見もあるかと思いますが、ミスマッチを防ぐためには、必要なことだと考えています。

自分のやりたいことが明確で、プライドを持って、一定の評価を明確に求めてくる医師は、直感的に分かります。柔道などの格闘技では、組んだ瞬間に「この人はすごいな」と分かると言いますが、ああいう感覚は医師の採用においても、非常に大事なことだと思っています。

 

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