事務長の仕事は「院長に使われること」ではない-イムス富士見総合病院【後編】

医師を採用する過程では、さまざまな意思決定が求められます。給与や業務範囲をどうするかなど、内容によっては、関係者を巻き込んだ院内調整が必要になりますが、イムス富士見総合病院では、問合せ窓口を担当する安藤保事務長が給与を含めた諸条件を整理し、スピーディに採用活動を進めています。
もともとIMSグループ本部で医師人事に携わっていた安藤事務長は、2013年春に同院に着任。半年ほどの期間で、院内の事情や院長の考え方を把握して、主体的に動けるようになったそうです。グループ本部で多くの事務長を見てきた安藤事務長に、事務長業務のポイントも含めて伺いました。

 

院長の意をくんで事務長が主体的に採用業務に従事

現在、医師採用はどんな体制で行っていますか。

安藤事務長

医師や紹介会社からの電話やメールでの問合せへの対応、面接のセッティングや、条件提示など、常勤医師の採用に関わる業務は基本的に私1人で行っています。非常勤医師の対応については、別の職員が携わっています。

-年収や勤務条件の交渉なども安藤事務長の判断で行うのでしょうか。

安藤事務長

安藤保事務長2最終的な判断は院長が行いますが、給与など勤務条件の大枠については、年齢・診療科、他の医師との兼ね合いを見ながら私が調整して提示します。グループ内の基準と照らし合わせた上で、歩合制を取り入れることもあります。

院長は日常的な会議などでも自分の考えを共有しながら物事を先に進めるので、「院長の考えが分からないから何もできない」という場面はほとんどないですね。具体的な指示がなくても、文脈から院長の考えを察して、行動することもあります。

もともとIMSグループの本部にいるときから、院長(前板橋中央総合病院副院長)のことは知っていました。また、当院の前身の鶴瀬病院は、どちらかといえば高齢者が多いケアミックスの病院でしたが、イムス富士見総合病院は一転、一般の急性期病院として2009年に開業しました。今日に至るまでに多くの苦労があったであろうことは想像できましたから、事務長として院長をサポートしなければ、という意識は当初から大きかったですね。

-事務長と院長の関係について、何かお考えはありますか。

安藤事務長

「医師は自分と違う世界の住人」だと考えて距離を置いてしまう事務長は多いと思います。やはり、院長はインテリジェンスが高いので、反論されるのは嫌なものですから、特に若手の事務長の中には、「院長に質問をしづらい」「話しかけにくい」という人もいるようです。

ただ、診療内容の細かいことは分からないにしても、事務長経験が長くなってくると最低限の医療用語は分かるようになってきますし、病院としてどんな患者さんのニーズに応じるべきかなど、考えも深まっていきます。そうした考えを持って院長をサポートしつつ、採用や事業計画に携わることで、自分の作りたい病院を実現させるために主体的に働きかけられる。これが事務長の仕事のだいご味ではないでしょうか。逆に、「院長に使われるのが事務長の仕事」だと思うのなら、この仕事は考え直した方が良いのではないかとすら思います。

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