中医協第620回総会 ~資料の要約

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2025年10月15日に開催された中央社会保険医療協議会の第620回総会が開催されました。DPC/PDPS(診断群分類別包括評価)の運用見直し、高額な医薬品や再生医療等製品の保険適用と在宅医療の対象拡大について説明します。

DPC制度の最新動向:高額薬剤の出来高化と地域包括医療病棟への移行

今回の総会では、DPC制度の運用に関する2つの報告がありました。

1. 高額な新規医薬品等のDPC包括評価対象外(出来高算定)

DPC/PDPSにおいては、新規に保険収載された高額な医薬品や、効能・用法が追加された医薬品を使用した患者について、包括評価の対象外とし、出来高算定とする措置が取られています。今回の総会では、2025年10月22日に薬価収載が予定されている新規医薬品等が、この出来高算定の対象となることが示されました。

  • ケサンラ点滴静注液(アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制)
  • ヨビパス皮下注(副甲状腺機能低下症)
  • バイジュベックゲル(栄養障害型表皮水疱症)

2. 「地域包括医療病棟」への再編に伴うDPC病院の退出

DPC制度では、入院基本料の施設基準変更により対象病床数が0となる場合、制度からの退出が認められています。今回、3つの病院(遠賀中間医師会おんが病院、加納渡辺病院、貝塚病院)が、「地域包括医療病棟への病棟再編を行うため」との理由でDPC制度から退出したことが報告されました。

高額薬剤・再生医療の厳格な管理体制

今回の総会では、特に高額な再生医療等製品の取扱いについて、厳格な管理体制が求められる点が改めて強調されました。

1. 最適使用推進ガイドライン(OUPG)と施設要件

栄養障害型表皮水疱症の治療薬として保険適用が了承された再生医療等製品「バイジュベックゲル」は、薬価が約295万円と非常に高額です。本品の適用にあたっては最適使用推進ガイドライン(OUPG)が策定され、厳しい施設要件が設定されました。

施設に関する主な要件

  • カルタヘナ法への対応:遺伝子組換え生物等の使用規程(第一種使用規程)に従い、本品を適切に取り扱うことが可能であること。
  • 製造販売後調査:有効性・安全性の情報収集(全例調査)を適切に実施可能であること。
  • 治療の責任者(医師)の要件:以下のすべてを満たす医師が配置されていること。
    • (a) 日本皮膚科学会専門医の資格
    • (b) 表皮水疱症の診療に必要な学識・技術
    • (c) 製造販売業者による適正使用講習の修了
    • (d) カルタヘナ法を十分に理解していること

2. 「条件・期限付き承認」品目の見直し

また、過去に「条件及び期限付き承認」を受け保険適用された再生医療等製品2品目(コラテジェン筋注用4mg、ハートシート)が、本承認を得られずに保険適用から削除された事案が報告されました。

3.高額薬剤「ヨビパス皮下注」の在宅医療移行

高額薬剤の投与が、入院や外来から在宅へとシフトする動向も示されました。副甲状腺機能低下症の治療薬として新規収載される「ヨビパス皮下注」について、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加することが提案されました。これは、本疾患が長期の治療を要し、1日1回の皮下投与を毎日来院して行うのは患者の負担が大きいため、在宅自己注射が不可欠であると関連学会から強い要望があったためです。

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