ザンビア共和国に命の灯を!医学生の奮闘記!

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宮地貴士

2018年10月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行

私は先月、アフリカ南東部に位置するザンビア共和国に滞在していた。2017年の4月に開始した診療所建設プロジェクトの進捗確認のためである。本記事では、国際支援活動の泥沼にはまりながらも必死にもがく、医学生の奮闘記をお届けする。
ザンビアはイギリス領ニューデシアから1964年10月24日に独立した。この日が何の日かご存知の方も多いのではないだろうか。そう、第一回東京オリンピックの閉会式が挙行された日である。世界がオリンピックに盛り上がっている中、ザンビアは誕生した。この閉会式にて、日本は世界で初めてザンビアの国旗を掲げたのである。日本とザンビアにはそんな、不思議な縁がある。

ザンビアの首都ルサカから車で道なき道を4時間。電気もガスも水道もなく、見渡す限りいっぱいの草原にたどり着く。今回診療所を建設するザンビア共和国中央州チサンバ郡モンボシ地区マケニ村だ。周辺人口も含め、9500人の住むこの村には医療施設がない。大きなおなかを抱えた妊婦さんは、安全な出産を求めて“最寄り”の診療所まで4時間の距離を歩き、やけどを負った村人は、布切れで患部を覆い痛々しい状態で自然治癒を待っている。

「診療所の建設によってより多くの命を救いたい。」その一心で活動する村人たちと出会い、彼らの活動を支援する決意をした。診療所の運営には、診療所そのものに加えて、医療従事者のためのスタッフハウス、トイレや医療ごみの焼却炉が必要であり、総工費は800万円程度。私たちは、その内の520万円を調達し、その他はザンビア政府や村人たちの寄付で集める計画を立てた。

さて、これまで何の経験もない学生が、どうやって資金を集めるのか。私たちが選んだ方法は、ザンビア風お好み焼きの販売である。ザンビアの主食であるトウモロコシの粉を生地に使い、現地でよく食されているトマトと豆を煮込んだソースをかけて食べるお好み焼きだ。やることが決まってからは、ひたすら駆け抜けた。出店先を見つけるために、新聞やネットでイベントを探し、主催者に連絡。「ザンビア風お好み焼きを焼かせてくれ!」とお願いした。資格のない学生による飲食出店のハードルは高かったが、思いに共感してくれた方のご厚意により、なんとか秋田県の小さな町で行われたお祭りに、屋台という形で記念すべき第1回目の出店が実現した。

その後は、支援の輪が秋田から全国各地に広がり、当初は数人だった仲間も今では50人ほど。これまでに3000食以上のお好み焼きを販売し、寄付も合わせて320万円の資金を調達することに成功した。このペースで活動を続け、第二回東京オリンピックが開かれる2020年までに診療所を建設させる予定である。

しかしながら資金集め以上に大切なことがある。建設した診療所が継続的にマケニ村の命を守る拠点として機能することだ。私は、2018年3月に2回目となるザンビア訪問を行った。診療所建設の進捗状況の確認、診療所の運営に関する情報収集、より多くの村人や政府関係者との信頼構築のためである。ただ、村に到着してから間もない日に、ある村人から衝撃的なことを言われた。「お前、去年も今年も来て、何をやっているのだ。診療所の建設は全然進んでいないじゃないか。」彼は、日本の学生が診療所建設のために奮闘してる事実を知らなかった。さらに調べてみると、村人たちは建設に必要な予算見積もりの存在すら把握していなかった。住民たちと私たちとの間に著しい温度差を感じ、私は涙が止まらなかった。

そもそもこのプロジェクトは村人たちが動き出したのがきっかけだ。建設に必要な4万個のレンガを世帯ごとに手分けして作製し、セメントの配合に使う砂を各地から集めてきた。
保健局に建設を何度も依頼するが断られてしまった。そのため、現地人を中心としたNGO、Makeni Ecumenical Centre(MEC)にサポートを依頼した。MECも自らの財源で診療所を建設できるわけではなく、外部者である私たちに支援を要請した。

私たちとMEC、村との間で交わした約束が甘かった。例えば、MECと交わした領収書に関することや支援を実行する上で村人たちが果たす役割について、全てが口約束となっていた。そのため、MECの担当者が変わったことや村が後継者問題で分裂する等の事態に一切対応できなかった。自分たちの実務能力の欠陥を大いに反省した。

今回の滞在期間は2週間であった。まずは、これまでの口約束を紙媒体での契約とした。また、MECに資金だけ渡して後は任せるのではなく、建設材料の購入から運搬に至るまで共に実行した。現地主導ではあるが、特にお金が絡む点に置いて日本人が果たすべき役割はまだまだある。今後は、私たちが現地を訪問できる長期休みを使って、プロジェクトを前に進めていく。

このプロジェクトが最終的に目指しているのは、マケニ村に住む人々の手で村の命が守られていくことである。そのためには、診療所の建設に加えて、村の医療を本気でよくするための能力・情熱を持つ人を育てていくことも必要だ。例えば、医師になりたい村の高校生に奨学金を提供し、医学部への進学をサポートする。10年、20年とかかることであるが、彼が医師となり村に戻ってくることで村の医療を支えてくれるだろう。

言語はもちろん、文化や価値観の異なるこの土地で壁にぶつかるのは当たり前。現地の人と一緒になって頭を抱えて、一歩進んでは一歩下がりながらも、少しずつ良いほうに歩んでいきたい。それこそが、真の国際協力だと信じている。

私たちの活動についてはこちらもご覧下さい。

【プロフィール】
宮地貴士
1997年生まれ。東京都出身、私立順天高校卒業。秋田大学医学部医学科4年次在学中。公衆衛生学講座学部研究員。

(MRIC by 医療ガバナンス学会より転載)

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