「AとBの医師、どちらかを採用しなければならないとしたら、どちらを選びますか――?」。m3.com会員医師1605人が回答した「究極の選択アンケート」。今回のテーマは志向性です。安定志向の医師と、上昇志向の医師なら、どちらを採用したいですか?
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目次
すべての年代で「安定志向」が過半数
アンケートで「安定志向の医師」と「上昇志向の医師」のどちらを採用したいかを尋ねたところ、m3.com会員医師の54.0%が安定志向、46.0%が上昇志向を選択しました。
また年代別では、すべての年代で安定志向が過半数を占めました。
職位別ではどうでしょうか。
理事クラス、院長クラス(正副含む)は、どちらも61.3%が「安定志向」を選択しており、ほかの年代よりも安定志向を求めていることがわかります。ただ、部長クラス(正副含む)は「上昇志向」を選択した人が51.9%で、ほぼ半々とはいえ、すべての職位の中で唯一「安定志向」を上回る結果になりました。理事、院長、部長は採用に関わる機会が多い職位ですが、どの職位の人が採用に関わるかで、求める医師の志向性に違いが出そうです。
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上昇志向傾向が強い診療科は?
診療科別で比較すると、安定志向を選んだ医師が70%を超えたのは眼科(73.5%)、精神科(71.3%)、内分泌(70.0%)で、「野心は悪くないが、目の前の患者には不必要」(眼科)、「病院は地域の精神科医療全般を担うことを第一としており、確実に業務を遂行してくれればいい」(精神科)などの理由が寄せられています。
一方で、上昇志向を選んだ医師が最も多かったのは循環器科(71.4%)で、外科(65.1%)、循環器外科(64.7%)も60%を超えました。「そういう人がいると周りも刺激されるから」「指導する側も勉強させられることがあるため」(外科)といった声がありました。
回答者の勤務する施設別に見てみましょう。医療機関は、病床規模が小さくなるほど、安定志向の医師を採用したいと考える医師が増えます。クリニックでは安定志向を選択した人が64.3%でしたが、病院(400床以上)では、上昇志向の医師を選択した人が53.0%で、安定志向を上回りました。クリニックは医師数も役職も少ないため、上昇志向のある医師は歓迎されないことが推察されます。
一方で老健、介護医療院などの施設では、上昇志向がある医師を選択した人が61.5%に上ります。医師が1人の職場が多く、施設長など役職者の採用になりやすいことが影響しているのでしょうか。
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「上昇志向は離職の可能性高い」「安定志向は病院が進歩しない」
安定志向の医師を選んだ理由
採用時に医師を評価する機会が多い部長クラス以上の医師の回答で、安定志向を選ぶ理由として多かったのは「上昇志向の医師はすぐに転職しそう」という声です。また、キャリアアップが望める勤務先ではないことや、周囲との摩擦を懸念する意見もありました。
※部長クラス以上の医師の回答
※一部編集しているものもあります
- 上昇志向があると離職の可能性が高くなる
- 自身の勤務する職場に限っての話だが、地方の病院において上昇志向の高さはいずれその職場を離れてゆくことと同義だと考え、継続勤務を望むような安定志向の医師を選びたいと思う
- 安定の方が長く一緒に働けそう
- 安全、確実な仕事をして欲しい
- 持続力が治療の安定に必要
- 協調性重視
- 当院のような一般病院では上昇志向が強すぎては周囲との摩擦が大きいと思う
- 私自身が安定志向なので
- うちのクリニックではキャリアアップできないから
上昇志向の医師を選んだ理由
上昇志向の医師を採用したいという人は、前向きな姿勢や、モチベーションを評価しています。また、周囲の刺激になり、職場が活性化されるなどの期待の声もありました。
※部長クラス以上の医師の回答
※一部編集しているものもあります
- いずれ独立などされるかもしれないが、常に前向きな姿勢は評価すべき
- お互いに高め合いたいから
- モチベーションが高いと判断されるから
- やる気ある人間と思うので
- リーダーシップを期待
- スキルが向上する可能性が高いように思うので
- 安定志向だと新しい仕事をしたがらない
- こちらも刺激になるため。職場が活性化される
- これからの医療は、医療制度の改革に伴い、不安定になっていくため、上昇志向を持つ人間が必要だと思うから
- 安定志向だと病院が進歩しないから
- 改善点等提起してほしい
先生のご勤務先には、安定志向と上昇志向のうち、どちらのタイプの医師が多いでしょうか?また、どちらのタイプの医師と一緒に働きたいと思いますか?
【調査概要】
期間:2020/12/3~12/4
対象医師:m3.com登録医師1605人
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