医師引き揚げから5年…離島のケアミックス病院で採用が好転し始めた理由―因島総合病院 西宏行 事務長

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広島県尾道市の日立造船健康保険組合 因島総合病院(一般101床・療養40床の計141床)は、広島・愛媛両県にまたがり島々の医療を支えるケアミックス病院です。大学医局からの医師派遣が途絶える中、病棟を支えてきた医師3人のうちの1人が定年退職に。採用活動に取り組んできましたが、離島にあるせいか、なかなか面接に至りません。事務長の西宏行氏は「来てくれる先生を待つだけではだめだ」と、2020年7月、求職中の医師にオファーする採用活動をスタートしました。初オファーの相手は、大分県に住む医師。オファーから1カ月で面接、内定と進み、9月から因島総合病院で勤務しています。西氏に、同院の採用活動や、採用が成功して起き始めている改革の機運を聞きました。

目次

海に面した日立造船健康保険組合 因島総合病院

サービス導入1カ月で採用が決まった、オファー第1号の医師

因島総合病院の事務長・西宏行氏

――因島総合病院の特徴や医師の体制を教えてください。

因島は瀬戸内海に浮かぶ島の一つですが、「しまなみ海道」で本州、四国と繋がっています。当院への交通アクセスは、JR山陽本線福山駅からバスに乗ると1時間程度、三原港からは高速船で30分、多島美を楽しんでいただければ当院すぐ側にある土生港・バス停に到着します。

当院は1917年(大正6年)の設立以来、広島県の因島・生口島のほか、対岸にある愛媛県の島々の地域医療を担ってきました。大学医局からの医師派遣は、5年ほど前から途絶え、医師不足と高齢化は深刻な状況となっています。
今回、念願の常勤医師1人採用に至り9月から勤務いただく事ができました。それまでは常勤医師3人に対し非常勤医師は約45人。常勤医師3人のうち、60歳代の2人の先生に病棟管理・外来・当直を担っていただき、相当なご負担をおかけしていている状態でした。

――2019年から医師の採用活動を本格化されたと伺いました。どのようなきっかけがあったのでしょうか。

一番は、これまで病棟管理を担っていただいていた常勤医師が、定年後65歳をきっかけに退職されることが決まったことです。定年後も勤務を続けられる先生もいらっしゃるのですが、65歳になり「今後は自分の人生を考えたい」と退職されることになりました。先生方が定年という節目を迎えられたとき、第二の人生を心置きなく選んでいただける病院であるためには、医師の若返りを進めることが必要だと強く感じた出来事でした。

医局派遣の再開をいつまでも期待していても……とふんぎりをつけ、医師紹介会社と初めて契約し、求人広告も掲載してみたのですが面接にはつながらず……。「うちの病院に関心をもってくれる先生を待っていても採用できない」と思っていたときに、求職中の医師にこちらからオファーを出せるという新しい医師採用サービスを知り、使ってみることにしました。

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――そのサービスが、エムスリーキャリアの「M3 Career プライム」(以下、プライム)だったのですね。効果はいかがでしたか。

先程お伝えした通り、9月から新しく常勤医師に入職していただいているのですが、実はこの先生は、当院がプライムを使って初めてオファーを出した方でした。

先生は当時、大分県にお住まいで、年齢は60代。私は医師の若返りを目指していたこともあり、どうしても若い先生の情報に目がいきがちだったのですが、プライムの担当者から、勤務希望地が「全国どこでも可」で、そのほかの条件も一致していることからオファーを勧められました。初めてのオファーに少し構えていたのですが、担当者の方に背中を押されました。

それが7月で、幸い先生にも興味を持っていただき、すぐに面接を設定することに。条件面がマッチするだけでなく、お人柄も非常にいい先生で、すぐに内定を出させていただきました。先生にも快諾いただき、9月1日に無事入職。現在、病棟管理を担っていただいております。

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採用が叶ったことで、院内の医師たちの表情が明るくなった

――最初にオファーした先生が入職、しかも2か月で入職だったとは驚きました。院内での反応はいかがですか。

今回の入職は、当院にとって大きな意味があります。昨年は面接がゼロだったのに、今年に入ってから先生以外にも、もう1人面接に来ていただいています。3か月で2人に面接に来ていただき、そのうちお1人は入職まで……。

院内の医師たちも「何が起きたんだ」と驚いています。これまで少ない人数の中、因島の医療を担っていただいていた医師たちも、今後の医師採用に希望を感じられたのか、表情が明るくなった気がします。

――プライムのどんな点が、貴院の採用活動にマッチしていたと思いますか。

求職者の年齢や転職理由に合わせて、オファー内容を変えられる点です。当院はこれまで、求人を掲載しても面接につながりませんでした。おそらく多くの人に向けた“最大公約数”の情報を出しても興味を持たれにくい病院なのだと思います。

オファー内容を変えると言っても、始めのうちは難しかったです。配信される求職者の情報から医師像をイメージし、その医師に響くようなオファーを書くなんて、やってきませんでしたから。ただ、オファーを重ねるうちに少しずつ慣れてきたような気がします。

例えば、ワークライフバランスを重視されそうな先生には、「当直は非常勤の先生にお任せでき、勤務終了後はすぐに帰宅していただけますし、オンコールも少ないです」とアピールします。また、スキルアップを重視される若い先生には、島々の訪問診療を行っていることや、血液透析で120人ほどの患者さんがおり、大学の関連病院として研究もしている点などを書いています。

また、オファー文には、一般の求人と比べて、詳細な情報を記載することができるのも魅力です。例えば、「橋が架かっているため、本土からの通勤も可能」と一言書くだけで離島勤務のハードルは少し下げられると思います。

「日立造船健康保険組合 因島総合病院」がある、広島県尾道市の因島

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採用を通じて課題を認識。医師の待遇改革がスタート

――プライムの導入をきっかけに、医師の待遇の改革にも着手されたそうですね。

はい。プライムを導入したことで、当院の採用課題を知ることができました。プライムの担当者からは、近隣の内科医師求人の相場感を聞いて当院と比較したり、オファーを出した先生から断られたときにはその理由についてフィードバックをもらったりしています。明確に分かったのは、勤務日数と待遇の見直しが必要ということでした。

当院の常勤は週5.5日勤務となっていますが、ほかの医療機関の求人には週4日勤務が多く、中には週3日のところもあります。オファーを断られた先生からは「週1日はほかの病院で勉強したい」という声もありました。また、年収も同じエリアの相場よりも低いということも無視できないと思いました。

当院は健康保険組合の病院ですので、勤務日数や年収などを院内だけで決めることはできません。しかし、今後の医師採用のためには、改革は必須だと判断し、健康保険組合本部と「時代に合った待遇が必要」と一致し、協議を重ね医師の給与改定ができました。
勤務日数は今後の課題ですが、改革に向けて進めていく方針です。

――今後の医師採用の展望を教えてください。

現在、外来は非常勤医師がメインですが、常勤医師が外来を担うことで、地域医療に改めてしっかり根差していきたいと考えています。まずは内科の医療体制を強化するために、3年間で合わせて6人の内科医を採用する計画です。

そして、課題である医師の若返りも進めていかなければなりません。特に若い先生から見ると、当院は指導医体制や勤務日数、待遇面などまだまだ課題が多いのですが、課題を真摯に受け止め、引き続き、改革を進めていきたいと思います。

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