著者:野末睦(あい太田クリニック院長)
配偶者を得、そして配偶者と良好な関係を維持、発展させていくということも、もちろん重要な事柄です。この面においても、医師はいくつかの克服しなければいけない側面を有しています。まずは将来の配偶者との出会いについてですが、就職した後は本当に忙しい日々が続くので、同じ職場の人以外にはなかなか出会いがありません。ですから、学生時代に知り合うか、医師になってからですと、男性の場合は女性の看護師さんと結婚するというパターンが非常に多いのが現状です。わたしは高校3年生の時に知り合った方と結婚しましたので、前者のパターンに入ります。看護師さんには、素敵な人が多いので、結婚する方が多いのもうなづけます。
まあ、出会いについては何とかなると思うので、多くは触れませんが、より重要なのは、維持、発展ですね。いろいろな研究で、いわゆる恋心は4年で失われるとされています。そのあとの関係をどう発展させていくか。その時のキーワードは、わたしは、愛、尊敬、感謝、スキンシップテクニックだと感じています。きれいごとを言っているように思われるかもしれませんが、どんなきっかけでもいいので、この4つのキーワードを体得した時に、安定した夫婦になれるような気がしています。わたし自身、正直胸を張って、いい夫だったとは言えないので、これからも日々、いろいろな工夫をして、相手の考え、立場に思いを馳せて、よりよい関係を築いていけたらいいなあと思っています。ここに書けないような秘訣もありますので、興味のある方は個人的にお声がけください。
医師としてできること
この項の最後に、子どもの数について言及します。少子高齢化の日本においては、子どもを少しでも多くつくるのは大事なことです。でも、子ども一人を育て上げるには、お金がかかります。ですから、ある程度収入の多い職業である、医師の方にはたくさんの子どもを育て上げていただければと思います。国のためといえば、少し反発を覚える方もいるかもしれませんが、実際子どもを育てるということは、実感としては自分たちの幸せにつながると感じています。
また、不妊のカップルもいると思いますが、ぜひ養子を育てていただければと思います。わたし自身、養子として育ちましたが、とても幸せな人生を送ることができています。お子さんがほしいのに、できないカップルには、特別養子制度などもありますので、ぜひご検討いただければと思います。人生の幅が広がると思います。
「良好な家族関係を築くにはどうしたらいいでしょうか?」への私的結論
配偶者や子どもとの関係構築には、相手の立場になることが大事。それには、それなりの勉強やトレーニングが必要。
野末睦(のずえ・むつみ)
筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。