関連病院への不本意な出向で得た、成長のチャンス―医師への選択、医師の選択【第23回】

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著者:野末睦(あい太田クリニック院長)

質問:関連病院に出向するメリットは何でしょうか?
※編注:質問に対する「私的結論」を次回掲載します。

大学医局に属していると、いわゆる関連病院に数年間の出向を命じられることがあります。海外留学から帰り、筑波大学消化器外科で大腸疾患の責任者として約2年間頑張ったところで、わたしにも大学の比較的近くにある民間の中規模病院に2年間出向する話が来ました。

不本意だった関連病院への出向

教授から出向を申しつけられた頃、わたしは大腸部門の責任者として県内でも少しずつ認められるようになり、いろいろな役割を果たすようになってきていました。それに対し、わたしの帰国と時をほぼ同じくして関連病院になった出向先は、院長先生の評価が極端に分かれていたこともあり、わたしは出向にかなり後ろ向きの気持ちでいました。

しかし、教授からの「手術の経験が少ないお前のためだ」という言葉もあり、決意したのでした。10年下の若手外科医を連れての出向でした。着任した当初は、その若手医師から「野末先生より、わたしの方が胃がんの執刀数が多いのですね。驚きました」と言われて、「びくっ」としたのですが、2人で懸命に患者さんの開拓をし、丁寧に診療し、そして安定した治療成績を残していくうちに、次第に患者さんの間でも、また職員の間でも認められるようになっていきました。

責任ある立場がわたしを成長させた

膵頭十二指腸切除術などの大きな手術は、その彼と交替でどちらかが執刀、もう一人が前立で行っていたのですが、1年ほどたったある時に、彼の口から「2人が交替で手術をしているのに、なんとなく野末先生の手術した患者さんのほうが、トラブルなく退院しているような気がします。どうしてでしょう?」と聞かれました。なぜかはわかりませんが、もしかしたら責任を負って施行してきた手術数の違いではないかと、その時思いました。同じ手術を執刀するにしても、全責任を自分で負って行うのと、前立に先輩医師がいて、責任を取ってくれる場合とでは、その手術から得る経験量に大きな違いが出るのではないでしょうか?

大学では、講師になってからすぐに若手の手術の前立をすることによって、手術を主体的に組み立てることを学び、また留学から帰ってきてからは、茨城県全体から集まる難しい手術を何とかやり遂げてきた経験。これらは件数以上の、何倍もの経験となってわたしの中に蓄積されていたと思います。ですから幸いにも、外科部長として外科の全責任を負う立場として、この出向先での職務を果たせたのだと思います。

≫次回に続きます≪

野末睦(のずえ・むつみ)

初期研修医が優先すべきこと1―医師への選択、医師の選択(野末睦)筑波大学医学専門学群卒。外科、創傷ケア、総合診療などの分野で臨床医として活動。約12年間にわたって庄内余目病院院長を務め、2014年10月からあい太田クリニック(群馬県太田市)院長。
著書に『外反母趾や胼胝、水虫を軽く見てはいませんか!』(オフィス蔵)『こんなふうに臨床研修病院を選んでみよう!楽しく、豊かな、キャリアを見据えて』(Kindle版)『院長のファーストステップ』(同)など。

 

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